<全米女子オープン 初日◇30日◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583ヤード・パー70>
「(スコアが)伸びるはずがない! 風は吹いてるし、グリーンもむずいし」。そんな“開き直り”が、いい方向に渋野日向子を運んで行った。ボギーがきても冷静に。最初にこのコースを回った時から意識していたことを徹底した。
スタートホールだった10番パー4で、いきなりピン右1.7メートルのチャンスにつけたが、ここは「かなり傾斜もあるし、すべてにおいてジャストタッチでいかないと」というバーディパットが大きくショートした。さらに打ち下ろしの12番パー3では、ティショットにミスが出て、グリーン前を横断するクリークにボールが吸い込まれることに。序盤から痛恨のダブルボギーではあるが、それでも渋野は落ち着いた様子のまま次のホールに向かう。
「難しいので一回“プチン”となったら終わり。切れてしまう要素はたくさんあったけど、バーディの数も多かったし、パットも(10番以降は)しっかり打ち切れていた。すぐに切り替えられました」。するとこの2ホールとも、直後にバーディがやってきた。スコアを伸ばした後も、やはり淡々と歩みを進めていく。
2つしかないパー5の13番、そして後半に迎えた7番はともにバーディ。「それはすごくよかった。ウェッジがきょうは頑張ってくれた。微妙な距離のバーディパットもあったけどちゃんと決め切れました」と、取るべきところで取れたことも“心の安定”につながる。 5バーディ・4ボギー・1ダブルボギーの「71」は、決して悪くない立ち上がりだ。
最終9番は3メートルを決め、バーディで締めくくることもできた。8番では「いわゆるスプーンでシャンク(笑)」と自分でもビックリするようなプレーも出たが、ここも最小のロスで切り抜ける。「気持ちが耐えられたと思う」。メジャーの初日は、その言葉に象徴される一日だった。
苦しいシーズンを過ごしてはいるが、徐々に思い通りの球がでるようになっているショットなど、手応えを感じられる場面は増えている。「その要素があったから(落ち着けたの)かなとも思うし、まだ一日目というのも頭に入れていた。いつもは“カチン”とくるけど、そうなったとてひどくなる一方。最小限に」。これがアンダーが出たら「やばいっすよ」というほどのコースと向き合うために出した答え。「あしたも難しいでしょうから、そういう気持ちでやりたいなと思います」。それが上位争いへの大事なキーワードになっていきそうだ。(文・間宮輝憲)