<ヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ 最終日◇2日◇レイクノナG&CC(米フロリダ州)◇6624ヤード・パー72>
昨年の日米共催「TOTOジャパンクラシック」で優勝し、ツアーメンバー入りした竹田麗央がデビュー戦を終えた。過去2シーズンの優勝者のみが出場できるエリートフィールドの開幕戦で、トータル11アンダー・8位。堂々のトップ10入りで、ルーキーイヤーに大きな期待感を抱かせた。
コース上で選手が唯一相談できる、キャディという大事な存在にディーン・ハーデン氏を起用した。オーストラリア出身の60歳で、ジャック・ニクラス(米国)をはじめ、世界トッププレーヤーのバッグを担いできた名キャディ。日本勢では不動裕理や深堀圭一郎らのサポート経験もある。バッグのショルダーは1本で、左肩に背負うのがハーデン流だ。
ハーデン氏の経歴で特筆すべきは、“海外女子メジャー4勝”という功績。2008年には「全英リコー女子オープン」で申ジエ(韓国)を支えて勝利(メジャー昇格前の10年「エビアン選手権」も担いで優勝した)。11年には「全米女子オープン」でユ・ソヨン(韓国)を、15年の全米女子と21年の「KPMG全米女子プロ」では“メジャーハンター”の異名を持つチョン・インジ(韓国)とカップを掲げた。
そんな“メジャーV請負人”の目に、初タッグを組んだ竹田はどう映ったのか。
「ティイングエリアからグリーンまで本当に素晴らしい。(タッグを組んで)初めての週はもちろん難しい。キャディは選手の飛距離を知らないし、選手がどう考えているのかも分からない。でも、この一週間で僕もたくさんのことを学べたよ。リオは強い球を打つのが好きだし、強い心を持っている。どんな時もクールで落ち着いていた」
初日は「70」で首位と5打差の4位発進。上位に食らいついていきたい状況だったが、2日目は前半のインコースで我慢を強いられた。「前半でいいスコアを出したい状況ではあったけど、うまくはいかなかった。でもリオはクールで、最後はいい上がりができた。それを見てうれしかったんだ」。後半の2番パー5では2オンイーグルを奪取。さらに2つ伸ばして「68」をマーク。3位につけた。
3日目はパッティングに苦しみ「71」と後退したが、最終日はサンデーバックナインのチャージで「68」。ハーデン氏は「本当に感動した」と一週間を振り返った。そして「リオに合うゴルフコースを“待ちたい”」とも言った。
「未来が楽しみだよ。リオはショットメーカー。ハイフェードでボールをコントロールできるから、硬いグリーンが得意なはず。今週はグリーンが柔らかく、芝目も難しくてパッティングがリオには合わなかった。でも、ラフが長くて硬いグリーンならビッグチャンスがあると思う。メジャートーナメントのコースに合いそうだと感じたよ」
竹田もハーデン氏との初戦について「すごくいい雰囲気を作ってくださったので、また来週からも力を合わせて頑張りたい」と充実感をにじませる。今週のやり取りで竹田が覚えた英語は『up to you(任せるよ)』。互いの信頼関係を深めながら、最強タッグへの歩みを進めていく。(文・笠井あかり)