米国女子ツアーはタイ決戦を皮切りに、いよいよ2024年シーズンが本格的にスタートする。畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子らに加え、稲見萌寧、西郷真央、吉田優利も参戦。ますますの盛り上がりが期待されるが、その前に昨年の名勝負を振り返りたい。今回は「ウォルマートNWアーカンソー選手権」。
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大会開幕前のポイントランキングは81位。春から来季シード権獲得のボーダーラインである80位とのせめぎ合いを強いられ続けたが、そのガマンの繰り返しは秋のアーカンソーで実った。
米国女子ツアーでは年間2試合しかない3日間大会。これまでは初日に出遅れて2日目に巻き返し予選を通過…という場面も少なくなかったが、今大会は「66」のスタートダッシュを切った。上々の11位タイ発進には「ホッとしてる自分もいます」と表情も緩む。
実は、欧州、米国、日本をまたいだ8連戦をこなしていた西村。日本での1週間のオフでは「インパクトがぼやけてしまう」というショットの狂いを修正。「今年アメリカで戦っているなかでは、一番いい状態」と再び米国に乗りこんで迎えた初日の好スコアがまさに“予兆”だった。
2日目は早朝からド派手なプレーが飛び出し、出だし5ホールで4つ伸ばすラッシュ。前半を折り返すときには流れが悪くなりそうな雰囲気もあったが、それを振り切り、合計8つのバーディを奪取(1ボギー)。米自己ベストスコアの「64」をたたき出した。
クラブハウスリーダーになったのちに、同じくツアールーキーのユ・ヘラン(韓国)にかわされたが、2打差の2位タイで最終日へ。最終組入りを果たし、「初めて」の優勝争いに加わった。
勢いよく飛び出していった最終日は、バーディ合戦が展開されるなか、なかなかチャンスが決め切れなかった。初めてバーディが来たのが10番。ヘランにドライバーで30ヤードほど差をつけられながらも、必死についていこうとしたが、追いつくことができず。3位タイに終わった。
それでも、これがシーズン初のトップ10入りで、自己最高順位。年間ポイントレースでも大量点を獲得して61位に急浮上。これまでギリギリで戦っていたシード権獲得に当確ランプをともし、「やったあ! めちゃくちゃうれしいです!」。“優菜スマイル”が弾けた。
この一戦を皮切りに、テキサス戦は13位、上海戦では優勝争いの末に8位でフィニッシュ。上位60人のみが出場できる最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」の切符も得て13位に入った。急成長を実感しながら、ルーキーイヤーの幕が華麗に閉じた。