<ホンダLPGAタイランド 3日目◇25日◇サイアムCC パタヤオールドC(タイ)◇6576ヤード・パー72>
タイの新星が地元の大歓声を受けながら、ムービングデーを終えた。初日「67」、2日目「65」をマークしたナタクリッタ・ボンタベーラプ(タイ)が3日目は1イーグル・6バーディの「64」の猛進。2位に4打差をつける単独首位で最終日を迎える。
「わたしの予想を少し超えているけど、これは不可能ではないこと」と話すボンタベーラプは、昨年11月にプロ転向したばかりの20歳。アマチュアとして最後に出場した「アジア女子アマ」では2位に入った実力者だ。
身長は160センチで長身とは言えないものの、武器とするのはドライバーで“300ヤード砲”を繰り出す飛距離。アジア女子アマの予選ラウンドでは馬場咲希(代々木高2年)が一緒にラウンドしたが、飛ばし屋と言われる馬場でさえも、「当たって飛んだとかじゃなくて、普通に300ぐらい飛んでいる」と目を丸くするほど。その飛ばしっぷりから“SIM300”のニックネームで呼ばれるなど、地元タイではちょっとした有名人だ。
米国女子ツアーには予選会のファーストステージから勝ち抜き、12月の最終予選会(Qシリーズ)に挑戦した。8日間の長丁場でも安定したプレーでスコアを伸ばし、最後の144ホール目を迎えるときには多くの試合に出場できる見込みの20位以内につけていた。だが最終18番で痛恨のトリプルボギーを叩き、最終的に28位で終えた。
ツアーカードを獲得してメンバー入りを果たしたものの、出場枠が増える3月末からの米本土戦もリザーブ(控え)でのエントリーとなっている状況。今大会にはタイで行われた予選会を自力で突破し、主催者推薦で出場を叶えた。
今季は2月に行われたタイでの国内戦で2戦2勝。絶好調な勢いそのままに、世界ランキング470位からの下剋上をねらう。
逃げ切りを図る最終日は、友人でもある世界ランキング4位のアタヤ・ティティクル(タイ)、タイ人の両親を持つセリーヌ・ビュティエ(フランス)と回る。「さらに多くの観客が来ると思う。それを刺激にベストを尽くしたい」。ルーキーイヤーでの勝利、さらには2019年「AIG女子オープン」(全英)を制した渋野日向子以来となる米国女子ツアーデビュー戦での優勝に挑む。