<全米女子オープン 初日◇30日◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583ヤード・パー70>
誰もが目を疑うできごとが、大会初日に起こった。注目を集めることになったのは、今季出場5連勝を含む6勝を挙げている“無双状態”のネリー・コルダ(米国)。12番パー3で『10』と大たたきするシーンがあった。
4月の「シェブロン選手権」を制し、この全米女子オープンでも大本命に挙げられていた世界1位の、まさかのつまずきだった。そこは強烈な打ち下ろしとなる実測161ヤードのパー3。グリーンとの境界線のようにクリークが横断している。日本勢の渋野日向子や河本結ら、多くの選手がこのクリークの餌食になったが、ネリーもそのひとりになってしまった。
グリーン奥のバンカーに落ちたのだが、寄せようとした2打目がグリーン手前へ下っていく傾斜に乗って、対岸のクリークに落ちた。ただ本当の悲劇はここから。4打目のアプローチもグリーンに届かず、傾斜で戻り再び水のなかへ。さらに6打目も、同じようにクリークに吸い込まれた。8打目は安全策で大きめに打ち、そこから2パット。ペナルティも含め、わずか1ホールに10打も要したネリーは、頭を抱えうなだれるしかなかった。
ティイングエリアで30分ほど待たされたネリーは、前の組のガビー・ロペス(メキシコ)とイングリッド・リンドブラト(スウェーデン)がショートして池に入れているのを見ていた。6番と7番アイアンの中間の距離だったが、6番アイアンを選択して1クラブ分後ろにティアップ。だが、風を切って奥のバンカーに入った。
「ボールの下に葉っぱがあったから、打った瞬間にロケットみたいに飛んで行った。どうすることもできなかった。ただ、本当に悪いチップショット(アプローチ)を何度も、何度も打ってしまった」
12番の平均スコアは一時『4.00』を超えるなど最高難易度。最終的に平均スコアは『3.800』で、ダブルボギーは32人、それ以上を喫した人は13人もいる。ダブルボギーで終えた渋野も「奥に外しても難しいし、池入るし、入っちゃったし。非常に難しすぎる。ほんとやめてくれって思った(笑)」とその難しさを話す。
10番からスタートしたネリーは、その後の追い上げとはならずキャリアワーストタイの「80」でホールアウト。「80は出したくなかったし、ボギーばかりだった」と下位に沈んだ。ぺブルビーチGLで行われた昨年大会にも最終日に「80」を叩き、トータル13オーバー・64位タイで終えている。
「わたしは人間なの。悪い日もある。ここまで本当に、堅実なゴルフをしてきた。きょうは悪い日だった、それしか言えないね」。言葉少なに“悪夢”を振り返ったネリー。世界ランク1位の実力者はここから巻き返しを図る。