「AIG女子オープン」(全英)などを主催するゴルフの総本山、R&Aがトランスジェンダー選手のプロの試合、およびエリート・アマチュア選手権への出場資格に関する“公正な方針”を導入した。
R&Aは公式コメントで、「この新たな規定は、数年間にわたり医学的、科学的研究を詳細に検討した結果に基づくもの。ゴルフは性別の影響を受けるスポーツであり、男性として思春期を過ごした場合、パフォーマンスに優位性をもたらすと確認した」と発表した。
米LPGAツアーや「全米女子オープン」などを主催するUSGA(全米ゴルフ協会)と同様に、「出場資格を持つのは出生時に女性であった選手、もしくは思春期を迎える前に女性への性転換を行った選手に限る」とし、「出生時に男性で、思春期を男性として過ごした選手」については女子の試合に出場できないと明記した。この新規定は2025年から適用される。
R&Aのマーティン・スランバース最高経営責任者は、「女子プロやエリート・アマチュア選手権における公平性を保つための正しい判断だ」と述べ、「R&Aは全ての選手が公平な条件で競技できるよう、規定を策定する責務がある」とコメントを発表した。
トランスジェンダー選手の女子ゴルフへの出場は今年、大きな論争を起こしていた。元男性で、大学時代は男子ゴルフの競技選手として過ごしていたヘイリー・デビットソン(米国)は2015年に性転換を開始し、2021年に31歳で手続きを完了。今年10月には、来季のLPGAツアーの出場権を賭けた2次予選会に出場した。最終予選会には進めなかったが、下部のエプソン・ツアーの一部出場権を獲得。また、今年初めには全米女子オープンの予選会にも出場し、出場権を得るための3位タイにわずか1打及ばなかった。(文・武川玲子=米国在住)