畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子らに加え、今季からは西郷真央らが新たにメンバー入りし、日本勢9人が出場している米国女子ツアー。その動向にも注目だが、試合以外や海外勢のおもしろ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材しているカメラマン・南しずか氏が気になるネタをピックアップ。これを見れば“米女子ツアー通”になれるかも!?
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全米女子プロゴルフ協会(LPGA)は12月2日、コミッショナーのモリー・マクー・サマーン氏が25年1月9日付で退任することを発表した。
サマーン氏は第9代コミッショナーとして、21年から米女子ツアーの成長を牽引した。就任期間の約3年半の間に、LPGAの賞金総額は90%以上増加し、選手の収入は過去最高を記録。トップ100選手の平均収入は21年の約57万ドル(約8550万円)から24年の100万ドル超え(約1億5000万円)にアップした。
また、メンタルヘルスの専門家および理学療法士の提供、予選落ち選手への手当てや米国内の遠征手当て、医療保険制度を新たに確立させた。
さらに、サマーン氏は親しみやすい人柄だった。今季の最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」では、西郷真央の新人賞(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)の受賞が決まるとすぐに駆け寄ってハグをした。ベアトロフィー(年間平均ストローク1位)を獲得した古江彩佳へ言葉をかけたりと、気さくに選手とコミュニケーションを図っていた。
その一方で、欧州女子ツアーとの統合の延期、今年の米欧対抗戦「ソルハイムカップ」での運営の不手際(観客を輸送するシャトルバスの不足)の対応の遅さを米ゴルフ雑誌ゴルフウィークの記者から指摘されていた。昨年の最終戦の前夜祭では軒並みスター選手たちが欠席したことで、大会の冠スポンサーの会長からリーダーシップの資質を非難されたこともある。
元世界ランク1位のステイシー・ルイスや昨年引退したミシェル・ウィー・ウェスト(ともに米国)をはじめ、アメリカ人選手の願いは明確だ。『(世界最高峰のプロゴルフツアーである)PGAに少しでも追いつくこと』。10代目のコミッショナーはまだ決まっていない。どんな人が就任し、どうLPGAを導くのか。その動静を見守りたい。(取材・文/南しずか)