今年6月の「全米女子オープン」で大会2勝目を挙げた笹生優花が、インフラ整備や省エネ活動へのコンサルティング事業などを行うホウコクホールディングス(HD)株式会社とスポンサー契約を締結した。10日には調印式に出席。契約は2025年1月1日付で始まり、期間は2年間。来季からウェアのパンツ右腰部分に同社のロゴをつけてプレーする。
この席には同社の金谷俊宗(かなや・としむね)代表取締役も同席。契約書に判を押す時でさえも、明るい雰囲気のなか進んでいった。もともと金谷氏とは日本ツアーでプレーしていた時からの顔なじみで、笹生の父・正和さんとは定期的に連絡を取る仲だという。「笹生プロは世界のビッグプレーヤー。ずっとラブコールを送っていました」(金谷氏)と、同社にとって念願の契約だったことが伝わってくる。
もちろん笹生にとっても「JLPGAの頃からお世話になっていて、またこうやってアメリカでも一緒に戦っていけるのはすごくうれしいこと」と話すように、心強い援軍だ。『1000年先も地球でいたい。』というスローガンを掲げ、本拠地の広島県から米国にも事業を拡大する金谷氏の“環境保全”の話を聞いた時には、「ゴルフも自然のなかでプレーするものなの。学ぶことが多いです」と深くうなずいていた。
今年は史上16人目、22歳11カ月13日(当時)の最年少記録で2度目の全米制覇を達成。8月には日本代表として山下美夢有とともにパリ五輪にも出場(54位)と、実りの多い1年を過ごした。「大きなケガもなく無事にシーズンを終えることができて、いい思い出もできましたし、去年よりは少し成長できた。“夢”にしている試合(全米女子オープン)でも優勝できたので、いい年でした」という言葉からも、充実の時間だったことがうかがえる。
そして来年は米国ツアーで5年目のシーズンを迎える。「毎年、ケガなくシーズンを終えることが一番で、まずはそこに集中したい。体調がいいなかで大きな試合に向けて準備していければ」。オフは日本、フィリピンという“2つの故郷”で過ごした後、渡米。まずは来年の開幕戦で、過去2年間の優勝しか出られない「ヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」(1月30~2月2日、フロリダ州)に向け、しっかりと現地でも調整を重ねていく。
この日、契約を結んだホウコクHDは米国のテキサス州にも拠点を持つが、ここは笹生の自宅がある場所でもある。やはり縁は深い。同地では4月にメジャー大会の「シェブロン選手権」も行われる。金谷氏も「応援に行きますよ~!」と、会場で直接エールを送ることへの意気込みを示していた。文字通りの“援軍”とともに、3勝目を目指す長いシーズンを戦う。(文・間宮輝憲)