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西村優菜の米国生活を支える“母娘転戦” 明るい母が明かした決意「私がシュンとするわけにはいかない」

西村優菜とともに米国を転戦する母・絵里子さんに、現地での生活を聞いた。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2023年5月11日 13時00分

米国でも母が娘のために食事を作り、精神面をサポートしている
米国でも母が娘のために食事を作り、精神面をサポートしている (撮影:上山敬太)
ハワイで撮影した母と娘の2ショット(撮影:Kimura Shogo)

ハワイで撮影した母と娘の2ショット(撮影:Kimura Shogo)

今年から米国を主戦場にする西村優菜のかたわらには、いつもそのプレーを見守る存在がいる。母・枝里子さんだ。娘のスタートが早朝でも、午後の遅い時間だろうが18ホール一緒について歩く。日本ツアー時代も帯同を続けてきたが、母も娘とともに新天地で“戦っている”。

記者はハワイで行われた先月の「ロッテ選手権」から3週間、現地取材をしたのだが、その間に聞いた枝里子さんの言葉は常に前向き。娘の米国での生活ぶりについても、「アメリカを楽しんでいるみたいですよ。なんでも食べるし、ぜんぜん苦にしてないですね」と、ニコニコとした表情でその様子を教えてくれた。そして、それは「私のほうが楽しんでいるかも(笑)」と母も同じ。親子二人三脚、異国で充実の日々を送っている。
 
西村のチームは、基本的には枝里子さんと、現地マネージャー、そしてキャディの4人。マネージャーのルイ・メドウスさんは英国出身ながら日本語もペラペラで、コミュニケーションも問題ない。このメンバーで3月から広い米国を舞台に転戦を続けている。
 
枝里子さんに、慣れぬ土地で困ったことについて聞いても、「こっちのフライパンがすごくごびりつくし、包丁も切れない(笑)。これは次日本に戻ったときに用意しないと」と、深刻な言葉は一切出てこない。普段は会場近くにキッチン付きのホテルを借り、食事面でもアスリートの娘を支えている。
 
ちなみに西村の好物は鶏の唐揚げとギョウザ。「パパが調理師だったから、それには負けるみたいなんですけど、唐揚げとギョウザは私のほうが美味しいって言ってくれるんです。唐揚げなんて衣をつけて揚げるだけなのに(笑)」。明るい食卓の風景がすぐにイメージできる。西村も「食事を作ってくれるのはすごく感謝してる部分です」と頭を下げる部分だ。海外生活を送るうえで、真っ先に思いつく壁のひとつも、そのサポートにより乗り越えられている。
 
ただ楽しいことばかりではない。この2カ月間は、日本で通算6勝を誇り、メジャーも制した西村といえども、コース内ではなかなかアジャストできないもどかしさを感じる時間でもあった。2週前の「JMイーグル・LA選手権」のラウンド後には、ここまでの米国でのプレーについて、「苦戦してるなという感じで、自分のゴルフができない難しさを感じています」と振り返っていた。またメジャー大会「シェブロン選手権」の会場では「予想以上に苦戦している」とも。日本ではなかったウェイティングからの出場を何度も経験し、マンデートーナメント出場も覚悟するなど精神をすり減らすことも多かった。
 
そして、明るく振る舞う母にとっても、娘が苦労するそういう姿はこたえるものだった。米国転戦で大変に感じることを聞いたときのこと。はじめは「うーん…意外とないんですよね」と笑っていたが、何かを思い出したかのように真剣な表情になることがあった。そして「でも、娘がつらそうなときは、やっぱり私もつらいですよね。そうなると私もシュンとしたくなる。でもそれは出さないようにしてます。私がシュンとするわけにはいかないから」という言葉。娘を思いやる母の本音を聞くことができた。それでもすぐにまたニコニコした顔に戻り「2人ともあっけらかんとしてるから」と付け加える。やはり母は強し、だ。
 
米国の転戦で大変なことといえば移動。飛行機に乗っている時間も長く、国内で時差があるため、そのしんどさはよく耳にする。例えばこの取材期間も、ハワイからヒューストンの移動のため乗った直行便の機内で7時間以上を過ごした。さらに日本と違って宅配事情が安定していないため、選手は大きな荷物を携えての移動になる。ただこれも「もともと大変というのは聞いていたし、荷物の問題も『出た、出た。これか!』って思えるから気にならないです」と母は笑い飛ばす。
 
今週11日から行われる「コグニザント・ファウンダーズカップ」では、全ラウンド終了後に中盤戦の出場権に大きく影響する第1回リシャッフルが行われる。現在ツアーのポイントランキング77位につける西村は、この試合終了後に80位以内に入ることで、中盤戦の出場試合数が増えることになる。これまでのように出られるか、出られないかわからないまま、とりあえず現地に入る、ということもなくなりスケジュールも立てやすくなる。チーム一丸となって、まずはここを乗り越えようとしている。
 
ラウンド中、話を聞かせてもらっているときも、娘がプレーする番が来るとスッとロープサイドまで近づき、そのプレーを静かに見守る母の姿は印象的だった。西村は日本が恋しくなるのは「愛犬に会いたい(笑)。今は父と弟が見てくれてて、いつも送ってくれた動画を見てます」という部分だけだと話したが、このまなざしが安心感を与えているのかもしれないと思える光景だった。
 
「あ、そういえばアメリカ生活で大変なことを思い出しました。ホテルのシャワー!すごい水の量が少ない時ってありません?(笑)」。いつもあっけらかんとした明るい雰囲気のなかで、西村はルーキーシーズンを過ごしている。(文・間宮輝憲)

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