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米TVリポーターからの指摘で判明した“25秒オーバー” 失格の畑岡奈紗が悔しさ吐露 「同伴競技者に言われるなら納得も…」

畑岡奈紗が失格処分となった。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2024年6月9日 08時38分

<ショップライトLPGAクラシック 2日目◇8日◇シービューGCベイC(米ニュージャージー州)◇6197ヤード・パー71>

6アンダー・4位タイと好発進を決めた初日のひとつのプレーにより、畑岡奈紗が8日(土)に行われた第2ラウンド前に失格になった。

前日の最終9番でボールを捜索する畑岡奈紗ら【写真】

LPGAが発表した声明によると、問題になったのは畑岡が初日の最終ホールとしてプレーした9番パー5。その時の状況は、2打目をグリーン右のフェスキューに打ち込んだのだが、本人、同伴競技者やキャディ、その場にいた関係者らがボールを捜索し発見。畑岡はアンプレヤブルを宣言しながらも、なんとかパーをセーブし、ラウンド後のアテスト(スコア申告)も問題なく終えていた。

だが一夜明け、プレーに備えウォーミングアップをしていた畑岡、そしてキャディのグレッグ・ジョンストン氏のもとにルールオフィスに来て欲しいという連絡があり、そこで失格を告げられることになる。理由は、捜索時間がゴルフ規則18.2aに定められている規定の3分を超えていたことと、それに伴う処置に問題があったため、だった。

3分を超えた時点でロストボール扱いになるため、本来なら『1罰打を加え、直前のストロークを行った所からプレーし、ストロークと距離の救済を受けなければならない』(規則18.2b)というルールに則る必要がある。しかし、アンプレヤブルをし、ドロップした位置から4打目を打ったため、誤所からのプレーとみなされた。さらに、そのことをアテストを終えるまでに修正・申告しなかったことで、規則14.7に従い失格という重い裁定がくだされた、というわけだ。

突然のできごとに、困惑を隠せない畑岡だが「ルールはルールなので仕方ないですね」と自分に言い聞かせるように淡々と話す。それでも釈然としない部分もある。それが発覚経緯。この件は米国のテレビ中継局リポーターとして、そのホールで実況をしていた男性のアテスト後の指摘が発端になった。それにより今朝になりLPGAが提供されたテレビ映像で確認したところ、“3分25秒”を要していたことが明らかになった。

「同伴競技者やキャディさんに言われるなら納得もいくけど、その場しか見ていない外部の人に言われて、次の日こういうことになるのは納得いかないですね」と、畑岡も悔しさを押し殺すので精いっぱいという様子だ。そしてこの言葉を聞くと、『テレビ』と『ルール』に関する話を思い浮かべてしまう。視聴者からの指摘により、後にペナルティが科されることについては、過去にたびたび議論になっていた。

それに線引きをしたできごととして、2017年の「ANAインスピレーション」がある。レクシー・トンプソン(米国)が第3ラウンドで、マークした位置とは違う場所からパッティングしていたとテレビ視聴者からの指摘があり、それにより4罰打のペナルティを単独首位でプレーしていた最終ラウンド中に告げられた“事件”で、レクシーはプレーオフのすえ敗れたことで悲劇のひとつとして知られている。これに端を発し、ゴルフのルールを統括するR&Aと全米ゴルフ協会(USGA)は18年から、“ルール違反についてのテレビ視聴者からの指摘は不採用にする”というルールを適用している。

視聴者による指摘が問題になったのも、テレビに映るのは上位選手や人気選手といった一部で、そこに不公平感が生じるから。今回の畑岡のケースもそれに近い気もするが、今回の失格について説明したLPGAの競技委員によると、その場に居た人からの指摘があった場合には、映像確認をすることは問題なし、という旨の回答が返ってきた。つまり『テレビ映像を見た人からの指摘』ではなく、『指摘があったから提供されたテレビ映像を確認した』というのが今回の理屈になる。

当然ながら畑岡も、この“3分ルール”については承知している。「探している時にマリナ(同伴競技者だったマリナ・アレックス)とも、『あと1分くらいだよね』って確認しながらやっていた。自分たちで携帯電話を出して3分間計るわけではないし…。他のホールでテレビカメラがないところだと、その“25秒”は誰が計るの?っていうことになってしまう」。この場にはルーリング担当もいたが、この人はあくまでもアンプレヤブルの処置のためそこに居ただけで、捜索には関与せず、当然ながら時間の管理もしていなかった、ということも説明された。

もちろん捜索時間が3分を過ぎていたという事実は変わらないが、どうしても『その場で指摘することはできなかったのだろうか?』という気持ちは残ってしまう。“たら・れば”にはなるが、もしアテストまでに気づいていれば、誤所からのプレーによるペナルティを受けるだけで済んだ話でもある。また明確に“3分間”という規定があるならば、しかるべき測定方法があってもいいと感じさせる失格劇だった。

本来なら午後1時25分にスタートを予定していた畑岡は競技委員からの説明を受けると、プレーすることなくコースを後にした。来週の「マイヤーLPGAクラシック」には出場しないため、2週後のメジャー大会「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」前では、ここが最後だったが、後味の悪さが残る試合になってしまった。(文・間宮輝憲)

【ゴルフ規則18.2a】
球が紛失またはアウトオブバウンズとなる場合
(1) 球が紛失となる場合。プレーヤー、またはそのキャディーが球を捜し始めてから3分以内に見つけることができなければ、その球は紛失となる。球がその時間内に見つかったが、それがプレーヤーの球であるかどうかはっきりしない場合:
プレーヤーは速やかにその球の確認をしようとしなければならず、3分の球の捜索時間が終わった後であっても、確認をするための合理的な時間が認められる。
このことには、球が見つかった場所にプレーヤーがいない場合に球の所に行くための合理的な時間が含まれる。プレーヤーが合理的な時間内に球を自分の球と確認できない場合、その球は紛失となる

【18.2b】
球が紛失、またはアウトオブバウンズとなった場合に行うこと
球が紛失、またはアウトオブバウンズとなった場合、プレーヤーは、1打の罰を加え、直前のストロークを行った所から元の球か別の球をプレーすることによってストロークと距離の救済を受けなければならない

【14.7b】
ストロークプレーで誤所からプレーした後にホールを終了する方法
(1) プレーヤーは誤所からプレーした球でホールのプレーを終わらせるのか、それとも正しい場所からプレーすることにより間違いを訂正するかを決めなければならない。ストロークプレーではプレーヤーが次に何をするのかは重大な違反があったかどうかによる。つまり、プレーヤーが誤所からプレーすることによって著しい利益を得たのかどうかによる:

●重大な違反がない
プレーヤーは、誤りを訂正しないで誤所からプレーした球でそのホールのプレーを終わらせなければならない。
● 重大な違反がある。
プレーヤーは規則に基づいて正しい所からプレーした球でそのホールのプレーを終えることによりその誤りを訂正しなければならない。プレーヤーが別のホールを始めるためのストロークを行う前に、またはそのラウンドの最終ホールでは、そのプレーヤーのスコアを提出する前にその誤りを訂正しなかった場合、そのプレーヤーは失格となる。

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