<Qシリーズ(米国女子ツアー最終予選会) 事前情報◇28日◇マグノリア・グローブGC クロッシングズC、フォールズC(米アラバマ州)>
2023年のシーズンは終わったが、西郷真央はここから“大一番”を迎える。30日から、来季の米国女子ツアー出場権がかかった最終予選会に出場。今年の大きな目標のひとつに掲げていたラウンドを前に、「あっという間でしたね」とポツリつぶやく。「この試合に向けて調整してきました」。いわば今年の集大成ともいえる。
先週行われた国内女子ツアーの最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」には出ず、24日(金)に現地入り。さっそく翌25日(土)からは練習ラウンドを開始した。この予選会は6ラウンドの長丁場で、さらに“予選ラウンド”ともいえる初日からの4日間はクロッシングズCとフォールズCという2つのコースを使用する。「(29日からの)公式練習だけでは1ラウンドずつしかできないし、きつい。それもあって前乗りしました」。火曜日もクロッシングズCのイン9ホールをプレー。ここまでに計3.5ラウンドをこなすなど、入念に準備を進めている。
そんななか火曜日の練習ラウンドでは、思わぬトラブルが“発覚”した。スタートの10番ティで、何気なくドライバーのフェース面を拭いた時、指先に違和感が。「“ガタッ”と突起しているような感じがしました。このままだと違反になってしまうので替えざるを得なかった」。不振からの復活優勝を遂げた今月の「伊藤園レディス」でも使用していたドライバー『キャロウェイ パラダイム ◆◆◆』が、まさかの破損。すぐさま会場に居たメーカー担当者のもとに向かい、新たなヘッドを手に入れた。
ただ、しっかりとテスト、調整をしてからクラブを投入する西郷にとっては、「若干の個体差でフェースの顔の向きが違ってはいました」と、完璧に馴染んだとは言い難い。「バランスも(破損前の1wのヘッドと)一緒にしてもらって、いい状態にはしてもらった」と、メーカー担当者にはその場で最善も尽くしてもらったが、あとは開幕前日の練習ラウンドなどでその感覚との差を埋めるつもりだ。とはいえまずは「試合前に気づけたのはよかった」というのは救いになる。
苦しい時期もブレずに、海外でプレーすることを目指してきた。米ツアー挑戦を明言したのは、シーズン開幕直後の今年4月のこと。昨年末から不振に陥った影響もあり、今季もなかなか勝てない日々が続いたが、ようやく伊藤園で約1年半ぶりとなる勝利を手にすることができた。すると翌週の「大王製紙エリエールレディス」でも優勝争いのすえ2位に。弾みをつけ渡米できたことについては、本人も「国内で1勝挙げられて気持ち的に楽になった」と認めるところ。慣れないQTの雰囲気などとは“うまく付き合っていく”必要もあるが、とにかく集中して6日間を乗り越えるつもり。
「フォールズのほうがグリーン傾斜がかなりきつかったり、ティショットも狭いところがあってスコアが出にくそう」。“クロッシングズCで伸ばしてフォールズで耐える”。これが事前に立てた戦略のひとつ。さらに期間中には、荒天予報が出される日も。「雨でこのフェアウェイだと(余計に下が緩くなり)セカンドも長くなったり難しくなりそう。周りのスコアもどれだけ把握できるか分からないので、フラストレーションをためず」。あとは状況に応じて、目標スコアに向かうだけだ。
20位以内に入ることで、来季の第1回リシャッフルまで概ねの試合に出場することができる。そのためにも、まずはこの日起きたトラブルをしっかりと乗り越えたい。(文・間宮輝憲)