＜BMW女子選手権　事前情報◇18日◇ソウォンバレーCC（韓国）◇6647ヤード・パー72＞

現在国内女子ツアーのメルセデス・ランキング1位に立ち、年間女王争いも熱を帯びるシーズン終盤に差し掛かっているなか、申ジエ（韓国）は米国女子ツアーの韓国戦に出場する。160ポイント差に迫る山下美夢有ら後続の追撃も気になっていることは確かだが、「久しぶりに韓国のファンのみなさんのまえでプレーできるチャンスがあったので決めました」。この大会ではもちろんメルセデスポイントを獲得できないが、母国で3年ぶりにプレーすることを決断した。

「試合数が大事だとは思わなくて、出場する試合やスケジューリングが大事」と話すように、ここまで32試合が行われたなかでジエが出場したのは18試合のみ。海外メジャーに出場したという影響もあるが、うまくオフを作りながら、1年間を通して最後まで戦い抜けるような日程を組んできた。「1試合、2試合休んで結果がどうなるかはわからないけど、自分の選択を一生懸命決めています」という。

日本ツアーでは開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」、そして高額賞金大会の「アース・モンダミンカップ」を制して今季2勝。メジャーでは「全米女子オープン」で2位タイ、「AIG女子オープン」（全英）では3位に入った。「今年もここまで試合数が少ないけれど、そのなかでも上位を争うレースができているのはうれしいし良かった。このペースでこのまま行きます。今週は（韓国で）頑張って、日本はほかの試合で頑張る」。韓国での試合にリフレッシュする気持ちも感じながら、集まるファンからの応援でパワーを受け取り、来週からは日本ツアーに戻る予定だ。

3年前に出場した韓国ツアー（KLPGA）は、コロナ禍により無観客試合だった。有観客となれば、実に5年前までさかのぼる。「久しぶりだからドキドキしている。期待してくれているのはわかるからプレッシャーもあるけれど、それは自分がいいプレーをしたいと思うからで、いいこと。いい緊張感をもって準備できています」と、ギャラリーがコースを埋め尽くす様子をイメージしながら開幕を待ちわびている。

開幕前日の水曜日にはプロアマで18ホールを回るため火曜日は練習のみにとどめたが、様々な関係者やメディアに声をかけられた。合計すれば「3時間以上くらい（笑）」というが、それらひとつひとつに丁寧に対応して、「それくらいみんなが待ってくれていた。もうちょっと来たらよかったなと感じたりもしました。今週は久しぶりに家族の前でプレーできるのでうれしい」と疲れをみせない笑顔で話す。

予選カットのない4日間大会とフォーマットは通常と異なるが、「みんな優勝したい気持ちで準備するし、わたしもいつもと変わることはないですね」と大会へ臨む気持ちは同じ。「ソウルから近いし、週末は寒くなりそうだけど、（ファンが）たくさん来てくれたらうれしいです」。韓国では女子ゴルフが大人気。韓国ツアー通算20勝を誇る実力者は、母国でも存在感を発揮しそうだ。（文・笠井あかり）