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    「今年は1勝…いや何勝もしたい」“応急処置”から“完治”へ 手応えを胸に新シーズン入り【勝みなみ・開幕直前インタビュー】

    米国ツアーで3年目のシーズンを迎える勝みなみが、ALBA Netのインタビューに応じ、今季への決意を語った。

    所属 ALBA Net編集部
    間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

    配信日時:2025年1月24日 03時00分

    • LPGA
    • 勝みなみ
    勝みなみが3年目のシーズンへの意気込みを語った
    勝みなみが3年目のシーズンへの意気込みを語った (撮影:ALBA)
    • シードを確定させたのは自身の昨季最終戦。だが、すでにショットへの手応えは大きいものだった
    • 昨年は4月のメジャー大会「シェブロン選手権」でトップ10入り
    • オフには地元・鹿児島に帰り、祖父・市来龍作さんとのラウンドなどでリフレッシュした
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    今季の米国女子ツアーは、1月30日~2月2日の「ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」(米フロリダ州・レイクノナG&CC)から、長いシーズンが幕を開ける。米国を主戦場にしてから今年で3年目を迎える勝みなみが、開幕を前にALBA Netのインタビューに応じ、決意を語った。大きな手応えを感じながら、最初のティオフを待っている。(取材/構成・間宮輝憲)

    【写真】ボールが曲がらなくなる! 勝みなみが実践する「オタ芸シャドー(笑)」ってなんだ?



    「楽しみです」。新たなシーズンを前に、こう意気込みを話す勝みなみの瞳には一点の曇りもない。いつも通りの笑顔で、2025年の戦いに向かっていけそうだ。

    最終予選会を突破し、初めて米国ツアーに挑んだのが2023年のこと。ルーキーイヤー、そして昨年の2年目とポイントランク上位80位までに与えられるシード権は得たが、なかなか満足いく1年にはなっていない。本人も、「ここ2年くらいは低迷しているというか、“このゴルフで決まり”と感じながらプレーしたことはなかったですね」と振り返る。

    1年目はポイントランク74位、2年目は同78位でからくもシード権を確保。昨年は自身のシーズン最終戦になった「ザ・アニカ・ドリブンbyゲインブリッジatペリカン」を14位で終え、なんとか確定させた。パッティングの不調を口にすることも目立った一年ではあったが、勝自身のなかに、これまでにはない感覚が芽生えた年でもあった。

    シードを確定させたのは自身の昨季最終戦。だが、すでにショットへの手応えは大きいものだった

    シードを確定させたのは自身の昨季最終戦。だが、すでにショットへの手応えは大きいものだった (撮影:GettyImages)

    「プロになってから、(昨年の)秋ごろまでは、スイングもいろいろと試しながらラウンドしてきました。でも、秋以降、“いいスイングのポイント”が見つかったんです。そこからは、自分が思い描いてきたボールも徐々に増えてきて。結果には出てないけど、迷いながらも“つかんだ一年”ではありましたね」

    これについて勝は、「根っこが見えてきた感じ」と表現する。その“こころ”は、こうだ。

    「プロとして知識が増えると、悪い時にごまかしてしまう。いい意味でも悪い意味でも、ごまかしがきくんです。『今はこういう状態だから、こうすればなんとかなる』みたいに、応急処置ができてしまう。それでもいいとは思うけど、自分はこれを望んではいません。これまで、何も意識しなくても常に一定になるスイングを目指したいと思ってきました。これまでは応急処置のようなスイングを何年もしてきたけど、最近はずっといい球が打てています」

    “応急処置”から“完治”へ向かっている実感。それがあるからこそ、苦しかったシーズンを振り返る時も声は明るい。

    「ずっと前向きです。母とも『ショットが良かったよね』とか、『パターは入る時、入らない時があるし、いつかは入ってくれる』なんて話したりしていて。パターは入ればいいから気にしなくていいよ、とか、そう言えるようになったことは大きいですね」

    では、一体何を変え、そこにたどり着いたのか? 勝に聞いてみると、「基本に戻ること」という答えが返ってきた。これまでは、プロとしてキャリアを積むなかで得た知識をプレーに反映させるよう試行錯誤を重ねてきた。しかし、それでもなかなか“根っこ”までは見えない。そこで、思考を一度リセット。「これまでやってこなかったから」と、一度、基本に立ち返ることを決めた。

    昨年は4月に「T-モバイル・マッチプレー」(5位)、そして「シェブロン選手権」(9位)と2戦連続トップ10入りを果たしたものの、そこからは思うような結果が出ない日々が続いた。もがくなか、たどり着いたのが原点回帰だった、というわけだ。

    「構えから力が入っている気がして、力を抜きたかったんです。バックスイングから、ダウンスイングにかけて手元が浮くのがすごく嫌だった。いろいろと試すなかで基本に戻ろう、小学生の頃に教わったことからやろうと決めました。『こんな練習をしたな、あんな練習もしたな』というのを思い出しながら。そうしたら、自然と手元が浮くことも少なくなってきて、基本練習の大事さに気づきました」

    練習場で上がっていく期待感を、あとはコースで表現するだけ。そんなワクワク感が、冒頭の「楽しみです」という気持ちにつながってくる。

    「(3年目のシーズンは)やるだけだなって思ってます。1、2年目の経験はすごく大きいと思うし、いろいろと気づけたものもあった。芝にも慣れてきたし、その経験をあとは爆発させるだけ。昨年の後半に自信がついてきたのも大きいし、自分でもやれると感じた。今年は1勝…、いや、何勝もしたいので、そこに向けて練習していきたいですね」

    まだ高校1年生のアマチュアゴルファーだった2014年に、当時の日本女子プロゴルフ協会のツアー最年少記録を更新する15歳293日で初優勝を挙げてから、日本では21、22年に連覇した「日本女子オープン」など8つのトロフィーを手に入れた。しかし米国では、また新たに“勝ち方”を模索する必要があるともいう。

    「小さい頃からプレーしている日本のコースは、ツアーも同じ会場が続くこともあって、イメージがしやすいんです。どこに打てば、どういうライになるとか。でもアメリカは芝質も異なるし、同じゴルフ場でも気候によって違ったり、日替わり。小さい頃からプレーしてきていない分、ちょっと時間がかかってしまいましたね」

    だが1勝することで、そんな状況が大きく変わることも知っている。今後、さらなる飛躍への足がかりを作るためにも、なんとしても米国での初優勝を追い求めていく。

    昨年は4月のメジャー大会「シェブロン選手権」でトップ10入り

    昨年は4月のメジャー大会「シェブロン選手権」でトップ10入り (撮影:南しずか)

    竹田麗央、山下美夢有ら、新たに日本からの選手が増えることも、やはり「楽しみ」だという。「日本の選手が増えたら、米ツアーももっと盛り上がる。(去年の)最後の試合で、(米国ツアーに参戦する)みんなで集まってバーベキューをしたんですけど、そういう機会もほとんどないし、『あ、なんかこういうのいいな』って感じました」。“先輩”として担う役割も、年々、大きくなっていきそうだ。

    「昔はショットメーカーと言われていたので、ショットでつけてバーディをたくさん取るゴルフに戻れれば、優勝も近いと思う。『バーディをたくさん取れるよう』にって、念力をみなさん送ってください(笑)。2年も待たせてしまっているので、優勝してみなさんに恩返しがしたいです」

    勝の今季初戦はシーズン2戦目の「ファウンダーズカップ」(2月6~9日、米フロリダ州)になる見込み。自信に満ちあふれた笑顔を絶やさず、まずは最初の勝利へと向かっていく。

    オフには地元・鹿児島に帰り、祖父・市来龍作さんとのラウンドなどでリフレッシュした

    オフには地元・鹿児島に帰り、祖父・市来龍作さんとのラウンドなどでリフレッシュした (撮影:ALBA)

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