<パリ五輪 3日目◇9日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇6374ヤード・パー72>
ローズ・チャン(米国)は最終18番パー5、残り190ヤードのフェアウェイから6番アイアンで打ったセカンドショットはピン前数メートルに落ちるとカップに向かってまっすぐ転がった。わずかに70センチほど通り過ぎたがこれを沈めてこの日2つめのイーグル。「手前の池にだけは落ちないようにとキャディにヤーデージを確認した。きっちり超えて良かった」。『67』をマークすると大きな笑みがこぼれた。
イーブンからスタート、前半で3つのバーディを奪い順調に伸ばした。14番パー5は「すごく良いティショットだった」とフェアウェイを捉えると残り221ヤードを3番ウッドで9メートルにつけて2オン。これを沈めると「良い勢いに乗れたと思った」という。
しかし、15番パー4ではセカンドショットが大ダフりのまさかのミス。「何が起こったのか分からない。少なくとも8〜10センチ、ボールの後ろを打ってしまった」。結果はグリーンを取り囲む池へ、ドロップして打った第4打を8メートルにつけてこのホールはダブルボギーと後退した。その分を18番で取り戻すとほっと胸をなで下ろした。
21歳のチャンは、アマチュア時代に数々の記録を残してきた。カリフォルニア州出身でタイガー・ウッズ(米国)と同じスタンフォード大に現在も通う現役の大学生。2020年に「全米女子アマ」、23年は「オーガスタナショナル女子アマチュア」を制した。世界アマチュアランキング1位に長らく君臨、タイガーを超える逸材と言われた。同年にプロ転向するやいなやデビュー戦の「ミズホアメリカズ・オープン」で勝利と歴史的快挙を達成。今季は5月の「コグニザント・ファウンダーズカップ」でツアー2勝目を挙げている。
「最終日も何も変えないで、ゴルフを楽しみたい。コースはとても難しいから、何が起こるか分からない。エネルギーと気持ちをすべてゴルフボールにだけ向かわせたい。その結果がメダルにつながればうれしい」。静かに初メダル獲得を目指す。(文・武川玲子=米国在住)