<ヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ 最終日◇2日◇レイクノナG&CC(米フロリダ州)◇6624ヤード・パー72>
昨年の日本ツアー年間女王・竹田麗央が米国転戦をスタートさせた。昨年の日米共催「TOTOジャパンクラシック」で優勝して米メンバー入り。2025年をルーキーイヤーとして、過去2シーズンのみが出場できる開幕戦に出場した。世界を股にかける、新天地での戦いの開始だ。
そのデビュー戦でいきなり上位に入った。トータル11アンダー・8位とトップ10フィニッシュ。自己評価は「80点」と高く、「自分のゴルフを毎週出し切って、出し切れればスコアもついてくる」と手ごたえを感じさせる4日間だった。新たな世界でのプレーを楽しむが、一方で、戸惑う部分ももちろんある。
例えば、プレー時間が長いこと。これはツアー全体として慢性的な問題にもなっているのだが、スロープレーが目立ち、ティイングエリアで待たされることは日常茶飯事だ。「プレーにけっこう時間がかかる。3日目は集中力がちょっと切れてしまった。うまくペース配分ができればいいかなと思います。こっちは一日が長いので」と苦笑いすら浮かべる。
日本では待ち時間に同伴選手と談笑するという姿もあったが、言葉の壁もあるのだろうか、見ている限り初戦ではその様子は少なかった。次をどうやって攻めようか、と考えすぎるのも良くないはず。この待ち時間をどのように過ごし、集中力をキープするかがルーキーイヤー序盤のポイントになっていきそうだ。
母・哲子(さとこ)さんが帯同し、「基本的にはふたりで」行動している。ホテルやAirbnbで家を借りたりしながら生活することになるが、今週は大会が用意したオフィシャルホテル(選手はもちろん無料)に宿泊した。食事の面では外食は問題ない、というタイプで、大会期間中にはステーキハウスに数回行ったという。
そのほかの日はというと、ホテルで“自炊”をした。とはいっても、冷蔵庫はとても小さく、部屋には電子レンジもコンロもない。「スーパーが楽しいみたい(笑)。お肉を買って、コンロも買って、ホテルの部屋で焼いて食べてみました。換気扇のある洗面所なら火災報知機も大丈夫でした。日本では絶対にできないけれど、今週のホテルは本当に広いので」と哲子さんは教えてくれた。
フライパンや鍋といった料理道具は、「古江(彩佳)さんのお母さんに『持ってきた方がいいよ』と教えてもらったんです」と日本から持参済み。日本人が愛するお米も、もちろん持ってきた。お肉とお米という最強コンビに、デザートはいまハマっているという“アレ”。「ハワイでアサイーボウルにハマったんです。それをスーパーで冷凍されているのを見つけて、食後のデザートに。ホテルには冷凍庫もないけれど、買って、帰って着いたときには、ちょうどいい感じになっています」。そう話す時の笑顔は、慣れない異国でも充実さを伝えてくる。
ラウンド中に母には大事な仕事がある。一打ごとの詳細をスマホに入力して、日本にいる竹田の父らと共有してデータ化している。これはプロ入りからの“日課”だ。「大したことはしていないんです」と哲子さんは笑うが、このまなざしが竹田を支えていくことになるのは間違いがない。(文・笠井あかり)