20歳のイン・ルオニン(中国)が笹生優花を1打差で抑えてメジャー初勝利を挙げた今年の「KPMG全米女子プロ選手権」は、ニュージャージー州スプリングフィールドの名門、バルタスロールGCで開催。悪天候に見舞われながらも無事4日間で終了した。
毎日雷雨の予報が出る中、最終日は午後の雷雨に備えて3サム2ウェイでスタート。それが功を奏して、午後1時過ぎから約2時間の中断があったものの、午後6時にルオニンが無事カップを掲げた。
しかし、大変なのはここからだった。最寄りのニュージャージー州ニューアーク空港、あるいはニューヨークのラ・ガーディア空港、JFK空港がある地域にも激しい雷雲が襲い、最終日の午後以降はフライトのキャンセル、遅延が相次ぎ大混乱。選手らの移動にも大きな影響を与えた。
フライト・トラッキングによると火曜日までにすでに1600便がキャンセル、5400便が遅延しているが、もっとも近いニューアーク空港はユナイテッド航空のハブで、同空港だけで461便が欠航となった。
そのため、選手たちは“あの手この手”での移動を強いられた。一部の選手らはその様子を自身のSNSにアップしている。
メル・リード(イングランド)はパートナーとともにフロリダ州ジャクソンビルまでレンタカーで14時間かけてドライブ。途中、インスタグラムでフォロワーとライブのQ&Aを開催した。
エマ・タリー(米国)はワシントンD.C.までドライブし、そこからナッシュビル行きの飛行機に乗ることができたよう。ロサンゼルス行きの便をひたすら待ったアリセン・コープス(米国)は、30時間を空港で過ごしたあと、ようやく飛行機で移動。トータル35時間の旅となった。
一方、マデリーン・サグストロム(スウェーデン)は陸路の移動を選択したが、レンタカーを確保することができず、“ウーバータクシー”で15時間かけて移動したとのこと。いったい料金はいくらになったのだろうか…?
選手だけでなく関係者、メディアたちも当然移動に多大な影響が出た。筆者はニューアーク空港で8時間待ち、深夜にロサンゼルス空港へ到着できた。同日に戻れただけでも幸運だった。
日本人選手も当然影響を受けているはずだが、幸いなことに今週はオープンウィーク。荷物が届かず、いまだに不自由を余儀なくされている人も多くいるが、水曜日には天候は回復した模様だ。次週のメジャー第3戦「全米女子オープン」(7月6〜9日)はカリフォルニア州ペブルビーチでの開催。それまでには態勢を整えられるといいのだが。(武川玲子=米国在住)