<マイナビ チャレンジマッチ THE Heroines 2025 一日競技◇12日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6427ヤード・パー72>
プロ2年目の2023年シーズンに国内女子ツアーで年間4勝を挙げメルセデス・ランキング5位になった櫻井心那が、6バーディ・1ボギーの「67」をマーク。5アンダーで2位に3打差をつけて圧勝した。2月13日は21歳の誕生日。“ハタチ”最後の日は輝かしい一日となった。
「大きいミスがなくて、ほぼパーオンしていて、それが大きかった。とくにピンチもなかったです。チャンスが多くて、ドライバーなどショットがすごくよかった。パターが入るか入らないかみたいな感じでした」
こう話すように勝因はショット。これまでプロコーチに習ったことが無かったが、昨年10月から目澤秀憲氏に指導を仰ぎはじめた。オフはスイング、アプローチの打ち方を見直し修正。スイングでは、インパクトのときに手元が浮いてしまう動きを治すために、「フォローで左に押すような動き。しっかり押してフェースに乗せたい。左に振るような、アプローチの延長みたいな感じで打つようにしています」とイメージを変えて取り組み、今回のラウンドで成果を発揮した。
最終18番パー5では、エッジまで残り220ヤードの位置から5番ウッドでグリーンの左まで運び、アプローチでおよそ30センチに寄せてバーディフィニッシュ。これまでのアプローチはボールの手前からヘッドが入るインパクトが課題だったが「ボールにコンタクトして上から入れるような」とダウンブローの動きに変更した。
「スピンが入ってくれて距離感が合いやすくなりました。浮いているラフとか、今まですくっていたため少し上っ面にあたる感じ。手前の芝が気になるときとかも全然寄らなかったんですけど、上からボールをちゃんと打つようになってから、あまり気にならなくなりました」と好感触を得ている。
今大会の1週間前には合宿を行ったが、「打ち方のイメージがガラッと変わり、感覚が出なくて、合宿のときは調子が悪かった」と不安もあったという。それでも「コースに出たら安定していたし、風があっても(ボールが)コントロールしやすくて、よかった」と初の実戦で実を結んだ。
舞台となった琉球ゴルフ倶楽部は国内女子ツアー開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」の開催コース。これまで2回出場しているが、一番いいスコアが『70』とあまりいいイメージはなかった。だが、今回初めて60台をマーク。さらに「一日競技がすごく苦手なんです。マンデー(トーナメント)も通ったことがない。だからびっくりです。10位に入れればいいなって思っていたので」と、“短期決戦”の苦手をも払拭した。
2022年にツアーデビューすると、同年には国内女子下部のステップ・アップ・ツアーで年間5勝を挙げ、一躍若手の注目株にまで成長。そして翌年、レギュラーツアーで4勝を果たすなど飛躍的なシーズンを過ごした。しかし、昨シーズンは未勝利。最高位は「ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ」の2位と悔しい一年を過ごすことになった。
シーズン開幕前に得た自信を糧に「今年はたくさん勝てるように頑張りたい」と意気込む。目澤氏に教わり始めてから「不安な気持ちがだいぶ軽くなった」とも話す。「いままで感覚でやっていた部分が多かったんですけど、それを言語化したり共有すると不安も消えるし、どういうことをすればいいのかとかも話し合い、さらに不安を消していけたらいいなと思います」。気持ちも前向きだ。
「自分がやるべきことをその時その時にやれたらいいかなという気持ちで。なるようになるみたいな感じで気楽にいきます」。再び、シーズン複数回Vを果たす姿が待ち遠しい。(文・高木彩音)