<JLPGA ファイナルQT 3日目◇28日◇葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース(静岡県)◇6454ヤード・パー72>
2年連続でQTファイナルステージの会場になった葛城は、菅楓華にとっては1年前に苦い思いを味わうことになった場所だ。プロテスト合格直後に迎えたQTは5位と好成績で4日間を終えながら、後日、同伴競技者のスコア記入ミスと、その本人確認・訂正ができていなかったことが発覚。この結果、失格となり、ルーキーイヤーを下部ツアーが主戦場になるQTランク104位で迎えることになった。
因縁の地で迎える2度目のQTになってしまったが、2024年は手応えを得られる一年でもあった。「思った以上にレギュラーツアーに出られたことのうれしさもあるし、いろいろな経験もできました。成長は感じています」。プロ初戦になった3月の「Vポイント×ENEOSゴルフ」は7位タイで終える鮮烈デビュー。その後もリランキングをクリアしながら、結果的には22試合に出場した。
しかし、その一方でこんな思いも。「シードを取れる位置でもあったので、それが取れなかったのは足りない部分がたくさんあるから。オフにしっかりしていきたいです」。メルセデス・ランキング63位に終わり、同50位以内が得られる来季のフル出場権に手が届かなかった反省を、ここからの糧にする。
3日目は風速6.3メートル/秒を記録するほどの強風のなかでのラウンドになった。全体の平均ストロークが『74.7961』(+2.7961)というなか、ティショットで右へのOBを打ってしまった最終9番までボギーフリーを貫いた。ただ、ここも3メートルのパットを沈め、「ナイスボギーだったと思います」と振り返れるシーン。しっかりと最終日につながるプレーだ。
「71」の1アンダーで一日を終え、順位も58位から29位まで上がった。これで来季のレギュラーツアー前半戦出場権獲得圏内にも突入。初日「73」、2日目が「74」というなかで出したアンダーパーには、「初日、2日目はショットが暴れていてチャンスにもつかず、ずっと耐えてました。だんだん良くなってきた」と自信も深まる。
「スコアは悪いけど、きのうとその前が悪かったなかで自分で考えて1アンダーで回れた。そこは去年と比べたらいいところでもありますね」。これがルーキーイヤーの締めくくりに感じている“成長”だ。苦しいなかでも、ラウンド中に試行錯誤しながら修正し、改善につなげた。こういった一歩一歩を、シード選手入り、そして初優勝へとつなげていく。
今年のプロテストでは宮崎の日章学園高時代の同級生・荒木優奈と、1学年後輩の福田萌維が合格した。「ちゃんとしないといけないですね」。責任感も増すばかり。あの“悪夢”を乗り越え、たくましさを増した19歳。来年は開幕からレギュラーツアーに戻りたい。(文・間宮輝憲)