<セントラル・フロリダ選手権 事前情報◇27日◇ウィンターヘイブンCC(米フロリダ州)◇6572ヤード・パー72>
「今年が初めてなので、下部のツアーに来た感覚もあまりなくて。なんかちょっと寂しい感じはするんですけど、新しい幕開けというか、『始まるな』という気持ちでいます」
原英莉花の2025年シーズンは米女子下部のエプソン・ツアーが主戦場になる。昨年12月の米最終予選会(Qシリーズ)を突破できなかったものの、下部ツアーの出場権は確保。予選会終了後すぐに参戦の意志を示し、過酷とも言われる環境に身を置いて“昇格”を目指していくこを明言した。それからおよそ2カ月半。いよいよ、フロリダから新たな一歩目を踏み出す。
オフにはまず、体力面のトレーニングに注力した。「ショットに移るまでにけっこう時間がかかったかもしれない」と体作りに時間を割き、それと並行して、ジャンボ邸では「運動神経系を蘇らせるような感じ」とミニクラブを振るなどのトレーニングで、基礎を徹底的に磨いた。
2月に入るとサンディエゴで合宿を実施。「アプローチや50ヤード以内をメーンに。最後はドライバーをしっかり振っていくところまで」と、開幕に向けた実戦練習を積んだ。その後は東海岸へと移動して、火曜日にコース入り。開幕までの3日間をコース上で時間をかけて過ごした。
「ちょっと寂しい」というのが、エプソン・ツアーに初めて足を踏み入れて感じた率直な思いだ。華やかな装飾やスタンドもなければ、スタッフやボランティアの数もかなり少ない。LPGAでは月曜日から選手に用意されているダイニングも、ここでは大会開催日の3日間だけだ。
この下部ツアー挑戦について、師匠のジャンボ尾崎に伝えると「なんで?」言われたという。「『なんでそんなところに行きたいんだ』みたいな感じで。それでも“海外で戦いたいので”と伝えたら『好きにやれ』って言ってくれました」。少しぶっきらぼうな言葉ながら、まな弟子の挑戦を応援する気持ちがひしひしと伝わってくる。
「まずは自分の存在感を示したい。上位で争って、どの試合も優勝を目指して頑張りたい。調子がどうのこうのじゃなくて、順位や結果にフォーカスしていきたい」。フロリダの芝はQシリーズ2次予選以来だが、「練習してきたサンディエゴの環境に似ている」とイメージは悪くなさそう。決意と覚悟を胸に、原英莉花の2025年シーズンが幕を開ける。(文・笠井あかり)