3日まで行われていた日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の最終プロテストで、“ママさんルーキー”として一躍注目を集めた22歳の神谷和奏(わかな)が、4日に行われた入会式に出席。JLPGAの小林浩美会長から会員証を渡され、「率直にうれしい。きのうよりも実感が湧いてきました」とわずかながら心境の変化が起きたようだ。
ボーダーライン上のトータル5アンダー・19位タイで合格を決めた前日のラウンド後には、夫の幸宏(ゆきひろ)さんが会場まで連れてきたまな娘の咲凛(えみり)ちゃんと、スコアボードの前で記念撮影も。“ほっこり”とする気持ちを見る者に与えた。ただ、そこからは、「(入会式用の)スーツを買いに行ったり忙しかったです。いろんな人に連絡したり、娘も疲れて早く寝ちゃったし、みんなドッと疲れがでたみたい(笑)」と、家族とともにゆっくり喜びを噛みしめる時間はなかったようだ。
目指すべきゴルファー像は「尊敬に値する」と前置きし、茂木宏美の名を挙げる。ツアー通算6勝を誇り、なにより出産後もツアーで戦った“ママさんゴルファー”の大先輩ともいえる人物だ。テストの2週間ほど前、夫のつてで茂木と一緒にラウンドしたことを明かす。そしてそれは「母としての強さを教えてもらえました」と感銘を受ける貴重な時間になった。
ここでは多くの金言が授けられたというが、なかでも心に刺さったのが『ツアーで活躍するには、寂しさを感じたり、いろいろなものをガマンする必要も出てくる。すべてを手の上に乗せることはできない』という言葉。ツアーを戦ううえでは、どうしても娘との時間が制限されることがあるかもしれないが、その時の覚悟などが示された。これを思い出した時には、目に涙をためこむほどの重い言葉だった。「強さを感じました。私も娘に強い背中を見せられるように頑張りたいです」。今後の“指針”を胸に、ツアー生活を開始することができる。
ここからは育児とプロ生活の両立が待っている。現在2歳の咲凛ちゃんが保育園に通えるようになったことで、平日の練習時間は3時間ほどは確保できているというが、当然、すべてを自分のために捧げることはできない。ラウンドも「試合の時くらい」と制限され、基本は練習場でボールを打つことが中心になる。ゴルフコーチでもある夫の意見も参考に、効率のいい練習方法をここからも模索していく。
『おめでとう』、『感動した』などたくさん届くメッセージを見て、改めて、いかに多くの人に支えられていたかを実感したともいう。入会式の朝の様子については「(プロテストも終わって咲凛ちゃんが)ずっと一緒にいられると思ったのに、『きょうも行くの?』みたいな感じでビックリしていました」と笑顔で明かす。合格により母と娘の水入らずの時間は、ちょっぴり延期されたが、これも“うれしい悲鳴”だ。ここからコースで輝く、かっこいいママの姿をたくさん娘に見せていきたい。(文・間宮輝憲)