<日本女子アマチュアゴルフ選手権 最終日◇16日◇秋田カントリー倶楽部(秋田県)◇6409ヤード・パー72>
「パーで上がってもつまらないかなと思って…」。2位に3打差をつけて最終18番パー5を迎えた飯島早織(ルネサンス高3年)。2打目地点の目の前には木があったが、バーディを獲るために思い切って5番ウッドを選択した。
女子アマ日本一は高校3年の飯島早織 セカンドオナー“常連”が見せたマネジメント力とチャレンジ精神
高校3年生の飯島早織が、今年の女子アマチュア日本一に輝いた。
配信日時:2023年6月16日 09時15分
<日本女子アマチュアゴルフ選手権 最終日◇16日◇秋田カントリー倶楽部(秋田県)◇6409ヤード・パー72>
「パーで上がってもつまらないかなと思って…」。2位に3打差をつけて最終18番パー5を迎えた飯島早織(ルネサンス高3年)。2打目地点の目の前には木があったが、バーディを獲るために思い切って5番ウッドを選択した。
しかし、トップしたボールは木に当たり、林の中へ。3打目もフェアウェイまで出ずにラフ止まり。4打目は引っかけてグリーンオーバー。5打目のアプローチを1.5メートルに寄せたが、それを外してダブルボギー。最後はドタバタしたが、それまでの貯金を生かして女子アマ日本一のタイトルを獲得した。
首位タイで出たがすぐに追いかける立場になった。首位タイに並んでいた藤本愛菜が1番でバーディを奪うと、4番、5番でも連続バーディ。対して飯島は6番でボギーとして、この時点で3打差となっていた。
7番でもボギーとした飯島は、得意の8番パー3で流れを変えた。「初日、2日目もバーディでしたし、すべて1ピン以内に乗せていたのでバーディをとりにいけると思っていました」。ピンまで117ヤードのこの日は、7番アイアンのコントロールショットで手前2メートル弱につけて、イメージ通りバーディ奪取に成功。「そこから気持ちよくプレーできました」。続く9番パー4では12メートルのバーディパットを沈めて首位をとらえると、藤本が10番でボギーを叩いて単独首位に立った。
また、2打リードで迎えた14番パー4ではティショットを大きく右に曲げて大ピンチ。2打目をグリーン手前20ヤードほどに運ぶと3打目がチップインバーディ。「14番で優勝に近づいたと思いました」と悪くなりそうな流れを自らの手で断ち切り、優勝街道を進んだ。
飯島はドライバーの飛距離は平均で220ヤード。「どの試合にいってもだいたいセカンドオナー」と、飛距離よりも正確性で勝負するタイプである。「飛ばないなら飛ばないなりに自分の持ち味を伸ばせばいい。誰よりも曲げないとか、パットは全部入れにいくという強い気持ちを持つことが大事だと思っています」。同組の選手に飛距離で負けても「アイアンでもウッドでもグリーンに届けばチャンスにつけられる」とショットには自信を持つ。女子プロでいえば古江彩佳や青木瀬令奈のようなプレースタイルが持ち味だ。
「バンカーは得意ではない」と自分のこともよく知っている。431ヤードと距離の長い12番パー4はグリーン手前にバンカーが待ち受ける。この日は雨とアゲンストの風というコンディション。2打目は左足下がりのライから打つことになる。飯島はバンカーの手前に刻んで、60ヤードの3打目を2メートルにつけて、難ホールをパーでしのいだ。「無謀なかけとか、無理そうだなと思ったら全部パー狙い」というのが信条である。
18番パー5の2打目は、5番ウッドを手にした飯島にとっては賭けに近いものがあった。「バーディを狙いにいってもボギーぐらいで収まるだろうと思っていて、少し油断しました」とダブルボギーになった。「(ユーティリティで刻んで、3打目は6番アイアンで打ってもパーは取れると思います。(2打目を)グリーン近くまで運んでバーティをとりたいと思っちゃって…」とそれが裏目に出た形ではあったが「それはやってみないとどっちに転ぶかわからない。後悔というのはあまりしてないですし、いい経験になってよかったと思っています」。
自分のプレースタイルを崩してまで狙った最終ホール。「この4日間通してもうちょっと攻めてビッグスコアを狙ってもよかったかなと思うこともあります。それは今後の課題でもありますし、今週得たものですね」と欲しいタイトルを獲得するだけでなく、先を見据えたチャレンジでもあった。
高校3年生の飯島にとって当面の目標は今年のプロテスト合格である。プロテストの1次から受験予定だったが、この優勝で1次と2次が免除となり、最終からの受験が可能になった。「今回みたいに優勝を狙いにいかなくても20位以内に入ればみんな一緒(合格)、その辺もしっかり考えたマネジメントもできたらいいなと思います」。自分のプレースタイルを確立している飯島の見事な勝利だった。合格率約3パーセントといわれる狭き門の女子プロテスト。女子アマ日本一の肩書をつけて臨む。(文・小高拓)
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