<JLPGA ファイナルQT 最終日◇29日◇葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース(静岡県)◇6454ヤード・パー72>
104人(棄権1人)が参加した来季出場権をかけた予選会のファイナルステージでは、今季シードを喪失した選手たちもレギュラーツアー返り咲きを目指した。永井花奈がトップ通過を果たす一方で、悔しさで体を震わせる選手も。クッキリと“明暗”が分かれることになってしまった。
トータル21オーバー・102位に終わった菅沼菜々は、ラウンドを終えると「何をやってもうまくいかない。本当に悔しい」と言って、大粒の涙を流した。
メルセデス・ランキング(MR)45位になったプロ3シーズン目の2020‐21年に初めてシードを獲得すると、翌年には同8位と飛躍。さらに昨年は2勝を挙げ、大ブレークを果たした。さらなる活躍が期待された今年だが、オフに負った右ヒザの故障、そして向上心を持って取り組んだスイング改造に失敗し、低迷の1年を過ごすことになってしまった。
「全部(クラブが)下から入って体が浮いてしまう。右は弱く、左に強い球を出すフォームを極めようと思ったらうまくハマらず…。今は、体が全部開いて、右に抜けてしまう球ばかり。風にも弱い」。強風が吹き荒れた葛城ではもちろんだが、これがシーズン通して不調の要因に。MR79位に沈み、来季はQTランク102位と、下部ツアーが主戦場になる位置からのスタートになる。
「今はあまりゴルフをやりたくない」と本音もポロリ。一度、体と心をしっかりと休めていく。そして迎えるオフは、まずスイングを戻すことから復調への道を探ることになる。「昨日、一昨日ぐらいからは以前のような感覚で打てるようになってきました。まだ試合では全然できないけど、練習場ではできてきている。もう少し磨きをかけられれば。時間はあるので、しっかり直したいです」。今はクラブを振り続けるしかない。
来年のレギュラーツアーは限定的な出場になる。2020年に2試合出場しているだけのステップ・アップ・ツアーについては「まだ全然考えられてないです」と話すにとどめた。あくまでも「もし(レギュラーの)推薦がもらえるなら、リランキング制度もあるので、そこまでに修正していければ」と早期の“返り咲き”が目標になる。
「怖くて打てないとか、振れないということはないのが唯一の救い。パットもショートはしないですし」。決して光明が断たれているわけではない。その光が徐々に強くなるような冬を過ごしていきたい。
菅沼とトップ通過の永井以外の今季シード選手は、小滝水音がトータル4アンダー・5位、米国を主戦場にした吉田優利もトータル2アンダー・7位と上位通過を果たした。後藤未有はトータル3オーバー・32位、濱田茉優もトータル4オーバー・39位という位置で、前半戦出場権は問題なさそうだ。(文・間宮輝憲)
【主なシード組の声】
■永井花奈
「疲れました。(貯金が)あったのでだいぶ楽に、あまり下のことは考えずにプレーできたと思います。ここ(QT)に来るのは、あまり楽しいものではないけど、それが最悪だったとは思わない。最終目標は優勝。まずは優勝争いを増やしていきたいです。ここ数年は序盤が全然ダメなので、今年のオフにしっかり練習していきます」
■後藤未有
「もったいないプレーが多すぎて、なんであんなミスをしたのかとか思いやられるところは多い。でも順位表を見てちょっとホッとはしています。最低限やることはやったかなという感じなので、リランキングを気にしなくていいように来年は前半戦で勝ちたいです。オフはパッティングと、終盤になるとブレが目立つショット。シンプルな動きのスイングを目指し、トレーニングもしっかりやっていきたいです」
■吉田優利
「スコア的に大きな変動がない4日間でしたけど、最終日に向けて自分の手応えは良くなっていきました。ショットや、毎日風が強いなかで、その読みはだいぶ良くなってきた。自分の調子とスコアメークはイコールではない。調子も上げつつスコアメークをしていくという部分が今週は足らなかった点かなと思っています。(来週は米国で予選会)世界に行きたいという私より若い選手が多いのもいいことですし、自分もいいゴルフができるようにしたい」