<JLPGA ファイナルQT 3日目◇28日◇葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース(静岡県)◇6454ヤード・パー72>
初日、2日目ともに「74」のオーバーパーで、第2ラウンド終了時点で68位タイに甘んじていた三ヶ島かなにとって、3日目の「71」というスコアは「きょうの一打(1アンダー)はけっこうでかいですね」と、心を軽くするものになった。全体の平均ストロークが『74.7961』(+2.7961)だった一日を考えても、価値ある“一打”だ。
これで順位も一気に32位タイまで浮上。昨年のケースを参考にすると、来季のレギュラーツアー前半戦出場権が得られる見込みの37位以上に入った。多くの選手を苦しめた風速6.3メートル/秒という強風も、「やっと葛城っぽくなってきたなって。待ってました。風が吹くのが葛城ですから」と心地いい。
ここ2シーズンはシードを確保できず、QTを戦っている。三ヶ島は2021年の「JLPGAツアー選手権リコーカップ」を制し、“メジャー特典”の3年間の複数年シードを保有しているが、「(今は)絶対に使いたくない!」と、葛城でのプレーを選択した。
女子ツアーの複数年シードは、獲得から10年間であれば本人が決めたタイミングでの行使が可能。三ヶ島でいえば31年まで有効期限が残っている。「使わなくてもいいなら、使わなずに済むところで全力で頑張るしかない」。大事な“切り札”は、可能な限り手元に残しておきたい。
そんな三ヶ島は、今“あるプラン”を練っている。それが、オフのオーストラリアツアー参戦だ。まだ「ポジティブに考えている」という段階ではあるが、試合勘を保ったまま来年の開幕を迎えるための手段として思案中。そこに参戦するためのQTが12月30、31日に行われるため、その締め切り日の12月20日までには参加可否の決断をくだすことになる。
試合勘維持のほかにも、三ヶ島が真夏のオーストラリアに期待していることがある。「修行です」。今の計画では、QTを通過し3試合ほど試合に出場することを考えているが、そのうちの2試合は自らキャディバッグを担いでのセルフプレーを思い描いている。「自分でプレーする力をつけるのは大事。自分の力があったうえで頼るのがキャディさんなのかなって。ジュニアの頃みたいに自分で担げば、体力もつきますし」。翻訳機を片手に、慣れない土地での移動や宿泊もこなすことになるため、タフさも要求される。
「気合と根性が育ちそう。根本の根性が足りないからシードに落ちてると思う」。こう言うと冗談っぽく笑ったが、本気さは伝わってくる。昨年は左ひざの大ケガなどもあり、苦しい2シーズンを過ごしてきたが、「いい勉強の2年間です。ここからどう生かせるか」と、今は苦難も前向きに受け止めている。
「最近は、自分のゴルフというか、楽しくプレーができてないと感じていた。変に考えすぎてしまって、スイングとかの形にこだわり過ぎてました。自分で自分の首を苦しめていましたね」
葛城では、こんなことにも気づけたという。すべての計画は、まず今回のQTを突破したところから始まる。大事な権利はしっかり残して、いざ武者修行の旅へ。そんなオフを思い描きながらも、今はレギュラーツアー出場権死守に集中する。(文・間宮輝憲)