<JLPGA ファイナルQT 初日◇26日◇葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース(静岡県)◇6454ヤード・パー72>
ツアー通算3勝の大江香織が、トーナメントプロとしての活動に一区切りをつけたのは2019年のこと。あれから5年。再びQTへ挑み、復帰への道を歩み始めている。「戻ってこられたことに感謝の気持ちでいっぱいです」。1オーバー・54位タイで終えた初日のラウンド後には、こう言って充実の笑みもこぼれた。
今回の決断について理由を聞くと、「同世代の選手の活躍が大きな刺激になりました」と答える。大江は1990年4月5日生まれの34歳。ツアーを離れた後も、トーナメント解説などゴルフに携わる仕事を続けてきた。そして2021年5月には結婚を発表。22年10月には女の子の出産も発表し、現在、2歳の子供を育てるママだ。
そんな環境の変化のなかで、「同世代のママさんプレーヤーが増えたなかで、みんな育児も頑張りながら、限られた時間のなかでゴルフに向き合っているんだなとそばで見て思っていました」と心境にも変化が。さらにコースへ戻ることを後押ししたことに、有村智恵が発起人で、30代以上の女子プロが争う試合『LADY GO CUP』に出場したことがある。「ひさしぶりにプロと回って楽しかったし、もう1回自分を追い込む、頑張れる場を作っていきたい」。こうして今年の夏ごろから、復帰へ向け動きはじめた。
とはいえ、まだまだ子供も小さく、かつてのようにすべての時間をゴルフに費やすわけにはいかない。その日々については、「準備という準備はあまりできなかったですね。ゴルフに行く時間は少なかったけど、せめて体は作ろうとジムに通ったり。7月くらいからはキックボクシング始めたんですけど、それもQTを見据えて体力作りにトライしようと思ったからです」と振り返る。
それでも先週の22日(金)まで行われていたQTファーストステージは、静岡県の裾野カンツリー倶楽部で“復帰戦”に臨み18位で通過。ゴルフの感覚については、「まだまだ全然(戻らない)です! 自分でもできすぎでビックリしてます」というほど。今回のファイナルステージ初日も、前半は2アンダーで回ったが、これについても「ラッキーがすごいあった。大きくミスしてない、それだけです」と謙遜する。
まだまだ“フルタイム”での復帰については、「子供が小さいですし、仮に出場権を得られてもたくさんの試合に出るのは現実的にどうかな。まずはQTの4日間を頑張ろう」というのが実状。それでも“育児とゴルフの両立”については、「どうなるか分からないけど、チャレンジしたい」と強く望んでいることだ。ここでの結果を受け、改めてスケジュールを組み立てていくことになる。
愛するひとり娘は自宅に置いての参戦。留守の間は、夫が娘の保育園に送り迎えするなど協力してくれている。「仕事をしながらで大変なのにありがたいですね」。そんな家族の支えも力に、一度は止まった時計を再び動かそうとしている。最後の優勝は18年9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」までさかのぼる。「一打一打頑張りたい」。その先に“4勝目”が待っているかもしれない。(文・間宮輝憲)