<LPGA Qシリーズ(最終予選) 最終日◇10日◇マグノリア・グローブGC(米アラバマ州)◇クロッシングズC=6664ヤード・パー72>
2年連続の最終予選会出場となった吉田優利。最終ラウンドを3バーディ・3ボギーの「72」で回り、トータル13アンダー・9位で来季出場資格を獲得した。ホッとした表情を見せたのもつかの間、頭の中はすでにこのオフの準備と米ツアー2年目に向けた課題でいっぱいだ。
第4ラウンド終了時点で安全圏の9位につけていた。5日目は悪天候で順延となり、この日は前半4番パー5から再開。バーディを奪う好スタートを切ったが、変化したコンディションには苦戦を強いられた。「風が変わって、5番、6番アイアン、4番ユーティリティの3本しか必要がないほど、長い距離しか残らなかった。バーディチャンスを作れなかったけれど、なんとかまとめられた」と振り返る。
初日から安定して圏内を維持し、最終ラウンドを迎えた心境については「だいぶ楽でした。あとは自分の課題と向き合うラウンドにしようと思っていたので、その点ではいい6日間だった」と満足感をのぞかせた。
初挑戦だった昨年は7位に入り、今年はルーキーとして米国ツアーを主戦場にした。だが、序盤は予選落ちが続き、秋口に調子を上げるもポイントランキングは102位に終わった。それにより「カテゴリー15」の出場資格を得たものの、より高い優先順位を得るためには予選会への出場が必須だった。
不本意ともいえる形で迎えた今回の予選会だが、吉田は前向きに挑んだ。「昨年経験している分、良い面もあれば怖い面もあった。でも、自分のゴルフも自分自身もすごく変わった。変わらざるを得ない状況にあった。挑戦や新しいことにずっと取り組み続けられている充実感がある」。現在の状況を受け入れ、最善を尽くしてきた。
今年と昨年で、ツアーカード獲得の心境は大きく異なる。「昨年はLPGAに行けるワクワク感があったけど、今年はオフの過ごし方を今から考えています。やらなきゃいけないこととか、何をしたいとか、はっきりとしたビジョンがある」。このオフは練習場ではなく、コースでのラウンド練習や芝の上から打つ練習を増やしたいと考えている。
アマチュア時代から注目を集め、プロ転向後は国内ツアーで3勝。2023年には国内メジャー初制覇も果たし、24年に米ツアー挑戦と順調に歩みを進めていたが、今年は苦しい時間も多かった。「ゴルフと向き合っていた時間がとても長くて濃密でした。それが結果に繋がるかどうかは別として、いろんな可能性や選択肢を今までよりも深く考えた」。その経験が成長の糧になったと語る。
来季もリシャッフル(出場優先順位の見直し)の対象となるが、シード権を獲得するためにどうするべきか。自身が一番分かっている。
「今年は探り探りな状態が多かった。来年は練習ラウンドをもっと少なくできるかもしれない。でも、結局は行き当たりばったりなのがこのカテゴリーと自分の位置づけ。昨年は出だしで苦戦したので、いい状態で抜けられたらうれしい」。すでに来年に向けて動き出している24歳。来季はより確かな一歩を踏み出す年になるだろう。(文・笠井あかり)