<Hitachi 3Tours Championship 最終日(一日競技)◇8日◇京葉カントリー倶楽部(千葉県)>
JLPGA(国内女子)、JGTO(国内男子)、PGA(国内シニア)のトップ選手が集結し、国内最強ツアーを決める戦い「Hitachi 3Tours Championship」。PGAチームのキャプテンを務めた藤田寛之は、スターティングセレモニーで「正直、優勝できるなんて思っていません(笑)」と冗談交じりのスピーチで会場を和ませたが、その言葉とは裏腹に50代のベテランたちが熱戦を繰り広げた。
大会は午前の1stステージがフォアボール(各自がボールを打ち、良い方のスコアを採用)、午後の2ndステージがフォアサム(ペアが交互にボールを打つ)形式で行われた。1stステージでは、伊澤利光&増田伸洋ペアが7バーディ、片山晋呉&藤田ペアが6バーディを奪い、合計8ポイントを獲得。血気盛んな若手相手に“おじさん達”が立ちはだかり、前半戦はトップとなった。
「予想外の出来だったので、雰囲気が良かったですよね。この世界でもう30年ぐらい戦っている仲間なので、一つの輪になってね。チーム力は我々が一番なんじゃないかな」。藤田の言葉通り、チームの6人は笑顔が絶えなかった。どのチームよりも楽しくラウンドしていたのが、PGAチームだった。
『優勝もあるぞ』。期待は高まったが、2ndステージでは若手の勢いに押された。「風が吹いたのもあって、うまくいってなかったですね。『なんかシニアらしいな』なんて、みんなで言っておりました」。JLPGAチームが伸ばし、JGTOチームが耐え、PGAチームは崩れる、そんな後半戦となった。「『後半は体力が持たない』とか、『一回休むとダメなんだね』とか、慰め合っておりました」。結果は3位だったが、その戦いぶりとチームワークはギャラリーの心をつかんだ。
藤田にとって、普段接点の少ない国内女子ツアー選手とのラウンドは新鮮だったという。「小祝(さくら)さんや竹田(麗央)さんと回らせてもらいましたが、やっぱりうまいですね。シンプルにボールが飛ぶし、ボールコントロールも正確。しっかり結果につなげるゴルフをしている」とうなった。
特に年間女王に輝いた竹田については「フェードボールや高い弾道を打てる。女子の中でこういうゴルフをすれば、やっぱり結果はついてくるんだろうな」とその実力に舌を巻いた。
藤田自身も今年6月の「全米シニアオープン」で2位。PGAツアーチャンピオンズ(米シニア)のプレーオフシリーズでも奮闘し、来季のシードを獲得。海外で飛躍を遂げた一年となった。「やりたくてやってるわけじゃないんですけど(笑)」と照れつつも「やりたくてもできないところなので、光栄なこと。行ってまいります」と新たな挑戦に胸を躍らせる。
「来年も楽しみたいですね。サポートしてくれる方々に良いニュースをお届けしたい」。来年には56歳となる藤田。還暦も近づく中、その情熱と挑戦を続けるバイタリティには感服するばかりだ。(文・齊藤啓介)