<オーガスタナショナル女子アマチュア(予選) 最終日◇30日◇チャンピオンズ・リトリートGC(米ジョージア州)◇ 6410ヤード・パー72>
昨年大会では4人出場した日本勢で唯一予選を通過して、オーガスタ・ナショナルGCでの決勝ラウンドにコマを進めた吉田鈴。しかし今年は、トータル5オーバーでカットラインに3打届かず悔しい予選落ちに終わった。
取材エリアに現れると、「通れなかったことがすごく悔しい。難しいホールで耐えたんですけど……パー5とかチャンスホールで獲らなきゃいけないホールで獲れなかった。技術的な問題でななくて、ゲームの運び方とか、気持ちの持ちようだったり、そういうところだと思います」と言葉を絞り出した。
予選2日間で8回あるパー5でバーディはゼロ。吉田のいうようにパー5で伸ばせていれば、結果は違っていたかもしれない。吉田自身それがわかっているからこそ、余計に悔しさがこみ上げる。
「プロとアマは全然考え方が違う。プロはゲームプランを立てるのがすごく上手くて、1個ボギーを打ったとしても、あと70ホールあるとか、そういう考え方ができる。きょうは自分のなかでいいプレーだったんですけど、スコアに反映されないと意味がない」
吉田は153センチと小柄で、飛距離が出るほうではない。今回の予選2日間を一緒に回ったアマリ・エイブリー(米国)とヘレン・ブライエム(ドイツ)はともに飛ばし屋。初日を終えたときには「男の人とゴルフをやっているみたい。2人のスイングを見て、自分も振って曲がってしまうのが一番良くない。不利だけど他で補うしかない」と、影響されないように注意していたはずだった。
しかし結局、スケールの大きい2人のゴルフが、吉田のゴルフの歯車を狂わせた。「私がウッドで打つところをショートアイアンで打っちゃうので、『無理だ』と思って。それでも何とか補おうとしたけど、今回はダメでした」と心が追いつけなかった。
それもそのはず。エイブリーは練習ラウンドでは馬場咲希と回り、何度もアウトドライブ。予選2日間の平均飛距離は247.8ヤードで全選手中10位につける。それを上回るのが身長190センチのブライエム。平均273.3ヤードで1位だった。飛ばし屋2人に対して、吉田は平均223.2ヤードで63位。吉田よりも約40センチ身長が高いブライエムに、ほぼ毎回50ヤード離されていたことになる。
「私は身長が小さいので周りよりももっと頑張らないといけない。体はしょうがないので知識とかメンタルとか技術の3つは他より上に行かなきゃ追いつけないので、そこを勉強したり、精神的にも強くなれればいいなと思っています」
日本女子プロゴルフ協会のプロテストでは、2年連続で合格に届かなかった。3つ年上でツアー通算2勝を挙げている姉の優利に、渡米前に練習を見てもらったところ、『スイングの前に体ができていない。シード選手のなかにはそんな体は一人もいない。自覚を持ったほうがいい』と厳しい言葉をかけられた。
「改めてそれを感じました。飛距離はそのままでいいけど、クラブをコントロールできる体作りを、長い目で見て5年後10年後、もっともっと先で活躍するために体を見直さなきゃいけない」。体作りに重点を入れて昨年よりも「絶対に上手くなっている」と米国に乗り込んできたが、プロテスト合格の向こう側を考えると、まだまだ足りないと思い知らされた。
実は節制のために大好きなマックを我慢してきた吉田。最後は笑顔で「きょうはマックを食べます(笑)。ハッピーセット。きょうはもういいです」と本日限定でマック解禁を示唆。そして、「もっと腹をくくって…この体から変わらないと、一生プロテストに落ち続けると思っているので…。いまの自分を壊せるようにトレーニングをまず頑張りたいです」と気持ちを強くした。(文・下村耕平)