<JLPGA新人戦 加賀電子カップ 初日◇4日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6589ヤード・パー72>
「すごく危なげないゴルフができた」。六車日那乃(むぐるま・ひなの)が4バーディ・2ボギーの「70」で回り、97期生“NO.1”を懸けた戦いで5位タイの好発進を決めた。
元ナショナルチームの22歳、六車は5度目のプロテスト挑戦でようやく悲願成就。是が非でも合格。そんな思いを持って臨んだ今年は「バランスのいい練習」を心がけた。「ショットが荒れていたので、ショットをメーンにやっていた」と語る。完璧を求めるあまり特定の分野に偏る練習を改め、「バランスが良ければ受かる」という信念をもって満遍なく取り組んだ。「完璧ではないですが、クリアしなければいけないところをクリアできてうれしい」と充実感をにじませた。
そして迎えた新人戦。六車にとってグレートアイランドCは馴染みのあるコースだ。2019年には同会場で行われた「伊藤園レディス」に出場し、今年も姉弟子である上田桃子の応援で訪れるなど、何度も足を運んでいる。だからこそ、「ティショットは狭く感じるので、最初から気が抜けない」とコースの難しさを熟知している。
その中で「プロテストやQTは切羽詰まった感じでしたが、今回は楽しみたい。みんなとしゃべりながらプレーしたいと思っていたので、そういう雰囲気でできました」と試合を楽しむ余裕も見せた。さらに、「ファイナルQT」を終えてから辻村明志コーチとスイングを見直し、テークバックで足が動き過ぎる“癖”を修正したことで「いい感覚」で臨めている。
今大会は、プロになりたての選手たちにとって、賞金が出ること自体が新鮮な経験だ。いわゆる“初任給”が貰え、優勝者には270万円が贈られる。「こんなに(賞金額が)高いことにびっくりしました。そんなにもらっちゃっていいのかな」と目を丸くした。
残り2日間に向けて、「強い子たちばかりの中で勝てたら自信にもなるし、うれしいのかなと思います。プロテストで学んだことを生かしてやっていきたい」。おっとりした口調ながらも、見据えるのはもちろん同期“NO.1”の座だ。(文・齊藤啓介)