<LPGA Qシリーズ(最終予選) 最終日◇10日◇マグノリア・グローブGC(米アラバマ州)◇クロッシングズC=6664ヤード・パー72>
日本ツアー最強の双子が“同時に”米国進出を決めた。姉・岩井明愛はトータル16アンダー・5位タイ、妹・岩井千怜はトータル21アンダー・2位で米国女子ツアーの来季出場権を獲得。来年はルーキーとして米ツアーを転戦することになる。
明愛は順延となった最終ラウンドを5バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの「70」で回った。25位タイまでの出場権獲得圏内に初日から残り続けて、安全圏で最終日を迎えていた。しかし、決して気を緩めることなくプレーを続け、90ホール目でカラーからのバーディパットを打つ時には「さすがに大丈夫かな」とツアーカード獲得を確信した。
開口一番「やったー!」と喜びを爆発させた。「ワクワクしていますし、少し不安もあります。またここから(スタート)って感じがします」と、新天地への挑戦を心待ちにしている様子だった。「2年前くらいから」思い描いていたという米ツアーロード。「海外で通用するような選手になりたい」という目標を掲げ、すでに来年を見据えている。
首位から出た千怜は2つのダブルボギーを喫して「71」。トップ通過の座は山下美夢有に譲ったものの、堂々の2位でフィニッシュした。「安心しています」と顔をほころばせた。
「きょうはどれだけ自分のゴルフができるか。気を緩めずに、今後につながるプレーをしようと心がけたけど、朝は気持ちを作るのが難しかった。闘争心、気合が足りていなかった」と振り返った。5番でフェアウェイバンカーからの2打目が池につかまりダブルボギー。後半もダブルボギーやボギーが続いたが、最終18番のバーディ締めでアンダーにまとめた。
「これも実力のうち。今後に生かして、もっと強い気持ちを持っていかなきゃダメだなと思った」と悔しさをにじませつつも、6日間90ホールの長丁場を終えて、「やっと終わってくれた。ひとまず休みたい」とホッとした表情を浮かべた。
日本女子プロゴルフ協会のプロテストも、ともに初挑戦で同時に一発合格。そして今回の米ツアーへの挑戦でも、そろって出場権を獲得した。今週の最大の目標は『ふたりで一緒に出場権を獲得すること』だった。「本当にうれしい。自分のことよりも、ふたりで通れたのが一番うれしい」(千怜)。ホールアウト後にはハグで喜びを分かち合った。
米ツアーでも双子の存在はすでに注目を集めている。「注目してもらえるのはうれしいですが、それには結果を出さなければいけない。変わらずに頑張ります」と明愛が意気込めば、千怜も「世界の人に岩井明愛、岩井千怜という名前を知ってほしい」と力を込めた。
互いのことを“ライバルではなく仲間”と表現する。誰よりも深いつながりを持つ岩井ツインズ。歩調を合わせて米ツアーに進み、新たな歴史を刻む日々が始まろうとしている。(文・笠井あかり)