春の祭典とも呼ばれる「マスターズ」のグッズは、大会期間中に会場でしか買えないことはご存じだろうか。ほかのメジャートーナメントは、会場に行かなくてもオンラインショップで購入できたり、PGAツアーショップや空港に置かれていることも多いのだが、オーガスタでは敷地内にあるショップでしか買えない。そもそもチケットを入手することさえ難しいのだから、グッズを購入するのもかなりのレア体験といえる。
練習日からグッズショップに入るため長蛇の列が作られ、待ち時間は80分を超えるときもある。並んでいたパトロン(ギャラリー)からは『まさにテーマパークのディズニーのようだよ!』という声も聞こえたが、いざ並んでみると、想像よりもサクサクと列が進む。会場には携帯を持ち込めないため、会話しながら待ち時間を過ごすことになるが、そんな時間すらワクワク感じさせる。
では、ここで気になったお土産を、いくつか紹介してみよう。
マスターズグッズを語るうえで欠かせないのが、『マスターズ・ガーデン・ノーム』。歴史あるトーナメントでありながら、販売が開始されたのは2016年。“庭の妖精”と名付けられた18インチ(約45センチ)の置物で、生産数が限られている限定品。正確な販売数は公表されていないが、1日700個のみとウワサされ、1人1個までしか買えないが、ゲートオープンから数時間で売り切れると言われるレアアイテムだ。
その価値が高まっている理由は、この白ヒゲおじさんの服装が毎年変わるから。今年はマスターズにちなんだ食べ物が描かれたシャツを着て、会場で販売されている折りたたみ椅子を背負い、左手にはアイスクリームクッキーサンドを持っている。価格は49.50ドル(約7000円)と限定品にしては良心的。筆者もかねて気になってはいたのだが、ショップを訪れたときにはすでに売り切れてしまっていた。
そんななか、この白ヒゲおじさんの新製品が登場した。手のひらサイズの大きさで、「S」と「P」と書かれた白いつなぎを着ている二人組は、ソルト&ペッパーシェイカー(38ドル)。月曜日に店頭にならぶと、一躍、人気者に。1人1個の限定品だが、夕方になっても売り切れていないのがうれしい。
個人的に気になったのは、白いポーチ。キャディのつなぎと同じ布素材で作られており、それを彷彿させるようなデザインだ。こちらも手のひらサイズと使いやすそうで、気軽にカゴに入れたのだが、後ほどしっかり値段を確認してみれば、まさかの75ドルで1万円超え。これは気が付かなかったことにしておこう…。
ショップの奥には、高級グッズが展示されているエリアも。革製のボストンバッグ、マスターズの刻印がされているスイス製の腕時計、マスターズロゴ入りの野球ボールやアメフトボールが販売されていた。ものすごくかっこいい商品が並ぶのでのどから手が出るほど欲しいのだが…さすがにその価格を見ると、尻込みしてしまう。
さて、キャップは色とデザイン違いのものが、40種類ほどずらりと壁に並べられている。ほかの棚にバケットハット、中折れ帽も並べられ、どれを買えばいいのか、と頭を悩ませる。バラまき土産としては、4個で22ドルのボールマーカーや12ドルのキャップマーカーなどに助けられそうだ。
あっちいったりこっちいったり、あっという間に1時間ほどが経ってしまっていた。支払はクレジットカードのみ。頭のなかで表示された金額を日本円に換算しては決してならない、と肝に銘じている。(文・笠井あかり)