トム・ワトソンにタイガー・ウッズを輩出 米屈指のスタンフォード大のコースはこんなところ【全米オープン:特別コラム】
第119回の「全米オープン」が現地時間の13日に開幕する。会場は米国屈指のリゾート地、西海岸はカリフォルニア州にあるペブルビーチリゾートにあるペブルビーチ・ゴルフリンクス。本大会が当地で開催されるのは今回で6回目だ。
1番ティからの景色はこんな感じ!【フォトギャラリー】
過去の優勝を見ると、ビッグネームが大会を制しているのがわかる。初開催となった1972年はジャック・ニクラス(米国)。82年にはトム・ワトソン(米国)が劇的なチップインを決めて、ニクラスに競り勝ち、栄冠に輝いた。
92年にはトム・カイト(米国)。そして、2000年には伝説が打ち立てられた。黄金期の始まりとなったタイガー・ウッズ(米国)の圧勝劇。2位に15打差をつける海外メジャー記録でゴルフ界の話題をさらった。
今年の「マスターズ」を制して完全復活を果たしたウッズ。先月行われた「全米プロゴルフ選手権」では体調不良もあって、十分な調整ができぬまま本戦に臨み、予選落ちに終わったが、思い出の地での決戦を前に何を思うのか。
今年で開場100周年を迎えるペブルビーチ・ゴルフリンクスはサンフランシスコの約200キロ南に位置し、景観の美しさと多くのゴルファーが憧れる、世界を代表するコースレイアウトで有名だ。そんなコースの北西約150キロ、サンフランシスコとの間に広がるのは名門・スタンフォード大学のキャンパスだ。
スタンフォードといえば、前述のワトソンが卒業した大学として有名だが、プロ転向で途中までの在籍になったとはいえ、ウッズも通った大学として日本のゴルフファンも知る人は多い。そして、広大なキャンパスの隣には、大学が所有するゴルフ場、スタンフォードゴルフコースがひっそりとたたずむ。
大学のコースとはいえ、本格的な18ホールのチャンピオンコース。全米大学選手権の予選や、全米ゴルフ協会(USGA)の主要大会予選会なども開かれるほど。かつては、米国の大学に留学していた服部道子などもプレー経験があるコースだ。
同コースはあくまでもメンバーシップコースだが、同大学の学生、従業員ら関係者、卒業生らはメンバーフィーでプレーできる。全米オープンを前に、そんなコースを訪れてみた。
大学キャンパスから車で数分のコースには、丘を上がったところにクラブハウスとはおよそ呼べない、カフェレストランメインの小洒落た建物がひっそりと建つ。目の前には練習グリーンとプロショップ。ここでスタートの受付をして、すぐ隣の1番ホールからティオフ。メンバーはほとんどがゴルフウェアで訪れ、車でスパイクに履き替え、受付を済ませていく。
その1番ホールが見事としかいいようがない、独特なつくりとなっているのもここの特徴。なんと、小高い丘の上から、一般道を越えてティショットを放っていくのだ。日本でも道路越えを見かけることはあるが、ほとんどの場合、ネットが張られているなど、何らかの防護策が施されるが、ここにはそんな物は一切ない。
ちょうど1番ホールを撮影していた時のこと。孫とコースを訪れていたメンバーの老夫婦の3人がティオフしていたので話を聞いてみた。「めったに道路に打つようなことはないよ。もし車に当たったとしても、コースがクーポンを渡して、修理できるようになっている」。そんなおじいちゃんのティショットはまさかのチョロで道路へ一直線。これには孫も大笑いで、「ガシャンって音がしたよ!車に当たったんじゃない!?」と大ウケ。そんなやりとりのまま3人はカートに乗って道路へと向かっていった。
その1番ホールのティ横には、スタンフォード出身の英雄、ワトソンの功績をたたえるプレートが目立たぬように敷かれている。ペブルビーチでの激闘でナショナルオープンを制したワトソンの存在はメンバーの誇りでもあり、「ここでワトソンは育ったんだ」と、コース内で出会った年配のメンバーが話してくれた。
1番から7番までは前出の道路の反対側でフラットな造り。8番からは道路のクラブハウス側に戻り、そこからはアップダウンやドッグレッグ、谷越えなど変化に富んだレイアウトのコースがプレーヤーの挑戦心を駆り立てる。訪れた日はどのホールに行ってもメンバーやそのゲストが和気あいあいとおのおののレベルに合わせゴルフを楽しむ。米国の雄大なゴルフライフの縮図が見られた。
ワトソンにウッズ、そして現在も米国屈指の名門ゴルフチームメンバーは夏休みとあって、それぞれの出場大会に出場するなどコースでその姿を見ることはできなかった。2週前の「全米女子オープン」でフィールド全体の進行が遅い中、スロープレーによる不運なペナルティを科されたアンドレア・リー(米国)や、前週の米女子ツアーで上位争いを演じた卒業生のマライア・スタックハウス(米国)など、将来有望な選手達。偉大な先輩達に続くそんな若者が育つには、十分な環境だった。(文・高桑均)
第119回の「全米オープン」が現地時間の13日に開幕する。会場は米国屈指のリゾート地、西海岸はカリフォルニア州にあるペブルビーチリゾートにあるペブルビーチ・ゴルフリンクス。本大会が当地で開催されるのは今回で6回目だ。
1番ティからの景色はこんな感じ!【フォトギャラリー】
過去の優勝を見ると、ビッグネームが大会を制しているのがわかる。初開催となった1972年はジャック・ニクラス(米国)。82年にはトム・ワトソン(米国)が劇的なチップインを決めて、ニクラスに競り勝ち、栄冠に輝いた。
92年にはトム・カイト(米国)。そして、2000年には伝説が打ち立てられた。黄金期の始まりとなったタイガー・ウッズ(米国)の圧勝劇。2位に15打差をつける海外メジャー記録でゴルフ界の話題をさらった。
今年の「マスターズ」を制して完全復活を果たしたウッズ。先月行われた「全米プロゴルフ選手権」では体調不良もあって、十分な調整ができぬまま本戦に臨み、予選落ちに終わったが、思い出の地での決戦を前に何を思うのか。
今年で開場100周年を迎えるペブルビーチ・ゴルフリンクスはサンフランシスコの約200キロ南に位置し、景観の美しさと多くのゴルファーが憧れる、世界を代表するコースレイアウトで有名だ。そんなコースの北西約150キロ、サンフランシスコとの間に広がるのは名門・スタンフォード大学のキャンパスだ。
スタンフォードといえば、前述のワトソンが卒業した大学として有名だが、プロ転向で途中までの在籍になったとはいえ、ウッズも通った大学として日本のゴルフファンも知る人は多い。そして、広大なキャンパスの隣には、大学が所有するゴルフ場、スタンフォードゴルフコースがひっそりとたたずむ。
大学のコースとはいえ、本格的な18ホールのチャンピオンコース。全米大学選手権の予選や、全米ゴルフ協会(USGA)の主要大会予選会なども開かれるほど。かつては、米国の大学に留学していた服部道子などもプレー経験があるコースだ。
同コースはあくまでもメンバーシップコースだが、同大学の学生、従業員ら関係者、卒業生らはメンバーフィーでプレーできる。全米オープンを前に、そんなコースを訪れてみた。
大学キャンパスから車で数分のコースには、丘を上がったところにクラブハウスとはおよそ呼べない、カフェレストランメインの小洒落た建物がひっそりと建つ。目の前には練習グリーンとプロショップ。ここでスタートの受付をして、すぐ隣の1番ホールからティオフ。メンバーはほとんどがゴルフウェアで訪れ、車でスパイクに履き替え、受付を済ませていく。
その1番ホールが見事としかいいようがない、独特なつくりとなっているのもここの特徴。なんと、小高い丘の上から、一般道を越えてティショットを放っていくのだ。日本でも道路越えを見かけることはあるが、ほとんどの場合、ネットが張られているなど、何らかの防護策が施されるが、ここにはそんな物は一切ない。
ちょうど1番ホールを撮影していた時のこと。孫とコースを訪れていたメンバーの老夫婦の3人がティオフしていたので話を聞いてみた。「めったに道路に打つようなことはないよ。もし車に当たったとしても、コースがクーポンを渡して、修理できるようになっている」。そんなおじいちゃんのティショットはまさかのチョロで道路へ一直線。これには孫も大笑いで、「ガシャンって音がしたよ!車に当たったんじゃない!?」と大ウケ。そんなやりとりのまま3人はカートに乗って道路へと向かっていった。
その1番ホールのティ横には、スタンフォード出身の英雄、ワトソンの功績をたたえるプレートが目立たぬように敷かれている。ペブルビーチでの激闘でナショナルオープンを制したワトソンの存在はメンバーの誇りでもあり、「ここでワトソンは育ったんだ」と、コース内で出会った年配のメンバーが話してくれた。
1番から7番までは前出の道路の反対側でフラットな造り。8番からは道路のクラブハウス側に戻り、そこからはアップダウンやドッグレッグ、谷越えなど変化に富んだレイアウトのコースがプレーヤーの挑戦心を駆り立てる。訪れた日はどのホールに行ってもメンバーやそのゲストが和気あいあいとおのおののレベルに合わせゴルフを楽しむ。米国の雄大なゴルフライフの縮図が見られた。
ワトソンにウッズ、そして現在も米国屈指の名門ゴルフチームメンバーは夏休みとあって、それぞれの出場大会に出場するなどコースでその姿を見ることはできなかった。2週前の「全米女子オープン」でフィールド全体の進行が遅い中、スロープレーによる不運なペナルティを科されたアンドレア・リー(米国)や、前週の米女子ツアーで上位争いを演じた卒業生のマライア・スタックハウス(米国)など、将来有望な選手達。偉大な先輩達に続くそんな若者が育つには、十分な環境だった。(文・高桑均)