ミケルソンにとって、全米オープンはもっとも手に入れたいタイトル。そしてこれまで、何度も近づきながら逃してきたタイトルでもある。

米国男子ツアー通算45勝。ウッズに次ぐゴルフ界のヒーローであることに疑いの余地はない。そんなミケルソンがはじめて全米オープンのタイトルに近づいたのは1999年。故ペイン・スチュアートとの死闘を演じ2位に入ったときだ。以来、ミケルソンは計6回の2位に甘んじることになった。

02年にはウッズに次ぐ2位。04年にはレティーフ・グーセン（南アフリカ）に競り負けた。06年には首位タイで最終日を迎えながら伏兵のジェフ・オギルビー（オーストラリア）に優勝をさらわれ、09年にはルーカス・グローバー（米国）に次ぐ2位タイ。近くに思えた世界一の称号には、なかなか手が届かなかった。

10年にマスターズを制覇したが、その後は勝利も激減。そんななかで迎えた13年には、最大のチャンスが訪れる。難コースのメリオンGCで開催された大会で、初日トップに躍り出た。2日目はビリー・ホーシェル（米国）に並ばれたが首位をキープ。そして3日目も唯一のアンダーパープレーヤーとしてリードを守り、単独首位で最終日に入った。

米国中がミケルソンの勝利を信じて疑わなかったが、プレッシャーからだろうか、ミケルソンは前半だけで2ダブルボギーと一気に崩れた。ところが10番でイーグルを奪い返し、ジャスティン・ローズ（イングランド）との争いへ。しかし、堅実にプレーしたローズの前に力尽き、結果はまたもや2位タイ。優勝トロフィーを手にすることができなかった。

この年、ミケルソンは悔しさを晴らすようにその1カ月後の全英を制し、生涯グランドスラムには残すところ全米オープンのみという状況を作り出した。しかし、40代の半ばを迎えていたミケルソンにとって全米タイトルはおろか、その後5年間ものあいだ、勝利から見放された。