2015年にプロ転向し、17年の米ツアーデビュー年に堂々2勝を挙げたシャウフェレは、そこから一気にスターダムを駆け上がったが、そのころから彼は五輪出場とメダル獲得を目指していたという。

五輪を目指しながら交通事故で夢破れた父親はドイツとフランスのハーフで、母親は台湾生まれで日本育ち。祖父母は今も渋谷で暮らしている。そして、シャウフェレ自身はサンディエゴ育ちで米国籍。

そんなダイバーシティ（多様性）の中で育ったシャウフェレは、常に自分のアイデンティティを探し求めてきた。そして、米国を代表して五輪に出場し、メダルを獲ることこそが、彼が探求し続けた最大の答えだった。

「メダルはお金では買えないもの。思っていると、どんどん欲しくなるもの。何色かは関係ない」と言い切って、メダル獲得をひたすら切望していた。

シャウフェレにとっての5つの輪は、ダイバーシティと愛国心、家族への想い、彼の知性や謙虚さをあらわしているように感じられた。

そのシャウフェレと優勝を競い合った松山英樹にとっての五輪の意味は、シャウフェレのそれとはまったく異なるものだったのだと思う。