とはいえ、勝敗の分れ目になりそうだった場面は途中で何度もあった。その大半はキャントレーがピンチ、デシャンボーがチャンスという状況だった。

デシャンボーが1打リードで迎えた71ホール目の17番（パー3）はキャントレーが池に入れ、2人の差は広がると思われた。しかし、デシャンボーはグリーン右のラフから寄せ損ない、どちらもボギー。デシャンボーのミスがキャントレーを生き残らせた。

72ホール目はキャントレーが7メートルを沈めてバーディーを奪ったが、デシャンボーは決めれば優勝となる4メートルを外し、サドンデス・プレーオフへ。そして、デシャンボーはプレーオフでも3ホール連続で決め手のバーディーパットを外した。

クリークにつかまりながらパーセーブしたプレーオフ4ホール目の18番は、逆にデシャンボーのサバイバルなプレーが光った。だが、5ホール目はピンそばを捉えたデシャンボーのさらに内側をキャントレーが捉え、6ホール目はキャントレーが6メートルを沈めたのに対してデシャンボーは3メートルを外して万事休す。遠くからでも入れたキャントレーが、近くからでも外したデシャンボーに競り勝ったという印象が強く残る優勝争いだった。

「僕らは異なるゲームをしていた」

優勝したキャントレーがそう振り返ったように、2人のゴルフに向き合う姿勢には根本的な違いがある。