緑と白のストライプのシャツに身を包んだフィナウは、そう言って天国の母への想いを募らせていた。タイガー・ウッズは最終日に赤いシャツを着るが、フィナウは緑のシャツ。彼がそう決めたのは、最愛の母ビーナが交通事故に遭い、この世を去った2011年のことだった。

大好きな母親を突然失ったショックで、フィナウは胃を患い、数週間の入院生活を余儀なくされた。2カ月以上ゴルフクラブを握ることができず、一時はプロゴルファーを辞めようとさえ思ったそうだ。

「でも、僕がゴルフをすることを懸命に支えてくれた母がそんなことを望むはずがない、と僕は思い直した」

フィナウの両親はトンガとサモアの出身。一家揃ってユタ州のソルトレイクシティに移り住んだが、経済的にはとても厳しい生活だったそうだ。

それでも家族全員がスポーツを愛し、フィナウと弟のジッパーはゴルフに没頭した。とはいえ、ゴルフ場や練習場で払うお金が無く、フィナウ兄弟は自宅のガレージの片隅に置いたマットレスに向かってボールを打っていた。そんな練習方法を考え出し、いつも励ましてくれたのが母ビーナだった。

「ゴルフで頑張ることが母の想いに報いることになる」。母の死の悲しみを克服すべく気を引き締め直したフィナウは、母が一番好きだった緑色のシャツを着てミニツアーの試合に臨み、2連勝を遂げると、以後、試合の最終日はサンデー・グリーンシャツを着て戦おうと心に決めた。