今季も数多くの話題が生まれたゴルフ界。その中から、編集部が各ツアーの10大ニュースをピックアップしてシーズンを振り返る。今回は男子10大ニュースの前編。
■松山英樹が年間2勝でアジア勢初の2桁勝利達成
米国男子ツアーを主戦場に戦う松山英樹が「フェデックス・セントジュード選手権」、プレーオフシリーズ初戦の「ジェネシス招待」と年間2勝を挙げた。ツアー通算10勝目となり、アジア勢初の通算2桁勝利となった。
今季初Vとなった2月のフェデックス・セントジュード選手権では、首位と6打差で迎えた最終日に、ボギーなしの9バーディで回り「62」をマーク。トータル17アンダーで単独首位の位置で先にホールアウトし、後続を待ったが、そのまま逃げ切り逆転。2022年1月の「ソニー・オープン・イン・ハワイ」以来となる米国男子ツアー通算9勝目を果たした。
2勝目となったプレーオフシリーズ初戦となる「ジェネシス招待」では、開幕前に松山の財布、そして早藤将太キャディとコーチのパスポートが盗難被害に遭い、いつもは久常涼のキャディを務める田淵大賀氏と急造タッグでの出場だった。そんな逆境をはねのけ、5打差単独首位から出た松山英樹が最終日に4バーディ・2ボギー・1ダブルボギーの「70」をマーク。トータル17アンダーで逃げ切り、プレーオフシリーズ初制覇を果たした。
■松山英樹が日本男子ゴルフ界初の銅メダルを獲得
2021年の「東京五輪」に続いて、24年の「パリ五輪」も日本代表で出場した松山が日本男子ゴルフ界初の銅メダルを獲得した。今回の舞台はフランスのル・ゴルフナショナル。初日から8アンダーの「63」をマークし単独首位発進、2日目までトップの位置をキープしていた。
しかし、3日目がイーブンパーの「71」とスコアを伸ばせず、トップに3打差の4位タイで最終日に進んだ。前半から4つのバーディを奪いスコアを伸ばして6アンダーの「65」でラウンド。後続を残し、メダル圏内につけてホールアウト。そのまま見事に銅メダル獲得となった。
■世界1位、パリ五輪金メダル… “最強”のスコッティ・シェフラー
米ツアーの開幕戦(1月)「ザ・セントリー」の5位タイで幕を開けた2024年シーズン。その後は3月の「アーノルド・パーマー招待」、「ザ・プレーヤーズ選手権」と2週連続優勝を挙げた。そして、メジャー初戦の「マスターズ」で大会2勝目を飾った。さらに翌週の「RBCヘリテージ」、6月の「メモリアル・トーナメント」「トラベラーズ選手権」でも優勝。8月に行われた「パリ五輪」では最終日に逆転を果たし、金メダルを獲得した。
プレーオフシリーズの「ツアー選手権」で今季7勝目。12月のツアー競技外「ヒーローワールドチャレンジ」での優勝で今シーズンを締めくくった。世界ランキングは堂々の1位で、シーズン中に15試合以上出場した選手による投票で決定されるPGAツアー年間最優秀選手の『ジャック・ニクラウス賞』を受賞。タイガー・ウッズ以来の快挙となる3季連続のMVPとなった。
■星野陸也、中島啓太、桂川有人…日本勢欧州Vラッシュ
2018年から欧州ツアーを主戦場に戦う星野陸也は、2月「コマーシャルバンク・カタールマスターズ」で同ツアー初V。今季のポイントランキングを16位で終え、来季の米国男子ツアー出場権を手にした。
2023年に日本の賞金王に輝き、今季から欧州ツアーを主戦場に戦った中島啓太はシーズン6試合目の「ヒーローインディアンオープン」で同ツアー初優勝を果たした。桂川有人は日本で開催された日欧共催ツアーの「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」で優勝。昨年9月の久常涼を含めると、1年間で4人の日本勢が初優勝を挙げる“Vラッシュ”となった。
■スコッティ・シェフラーがメジャー開催期間中に逮捕
5月にケンタッキー州ルイビルで行われた「全米プロ」の期間中、警官の指示に従わず無謀運転などの罪で拘束されたシェフラー。約1時間後に釈放されて無事に第2ラウンドをプレーし「66」をマークし上位に浮上するも、疲労からか3日目にスコアを落とし8位タイでフィニッシュとなった。
このとき、4つの罪で拘束された。“重罪”として警察官に第2級の暴行があり、3級犯罪、無謀運転、交通整理中の警官の指示信号を無視の罪に問われた。その後、当時予定された罪状認否が延2週間延期されるなど、なかなか話がまとまらない期間が続いたが、シェフラー側に有利な証拠や証人がたくさんそろっていたこともあり、5月29日にルイビル検察はすべての起訴を取り下げ。晴れてシェフラーは無罪となった。
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後編では白熱の賞金王争いや、「日本オープン」の死闘など、国内ツアーを中心にお届けする。