カナダで生まれ育ったジャレード・デュトワは現在、米国のアリゾナ州立大学に籍を置く4年生。そのデュトワが3日目を終えて2位タイに浮上すると、カナダの人々は1954年以来のカナダ人によるカナディアンオープン優勝に期待を膨らませた。
「まだこれは僕の出発点にすぎない。勝ち負けより、この雰囲気の中で自分のゴルフができるよう頑張りたい」と笑顔で語っていたデュトワは最終日も落ち着いた戦いぶりだった。しかし、“先輩プロ”たちの快進撃により、9位へ押し下げられた。カナダ人がナショナルオープンを制覇する62年ぶりの悲願は叶わなかったが、カナダ人が五輪で金メダルに再び輝く112年ぶりの悲願は一層強まったのかもしれない。
今大会で勝利したのはカナダ人ではなくベネズエラ人のジョナサン・ベガスだった。最終日にスコアを8つ伸ばす驚異の快進撃で米ツアー通算2勝目を挙げた。
ゴルフがほとんど知られていなかった母国を離れ、米国のテキサス大学へゴルフ留学した当時のベガスは英語がわからないどころか、ゴルフシューズを履いたこともなく、歯医者の存在すら知らずに歯痛で顔を腫らせていたという。そんなベガスがプロになり、米ツアーに辿り着き、ルーキーイヤーの2011年に早々に初優勝を挙げたのは奇跡的。
しかし2年後、肩を痛めてシーズン半分を棒に振り、以後もなかなか成績が上がらず、シード落ちも経験。今季もフルシードが無い状態でなんとか米ツアーにしがみ付き、調子は少しずつだが上向きつつあった。
世界ランキング203位で臨んだ今大会。この優勝で来週の全米プロへの最後の切符を手に入れた。それは今年初めのメジャー出場になる。そして来年4月にはオーガスタにも戻れる。
今年のカナディアンオープンはまたしてもカナダ人の悲願は叶わなかったが、その代わり、ベネズエラ人の悲願、ベガスの悲願がようやく叶った。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
「まだこれは僕の出発点にすぎない。勝ち負けより、この雰囲気の中で自分のゴルフができるよう頑張りたい」と笑顔で語っていたデュトワは最終日も落ち着いた戦いぶりだった。しかし、“先輩プロ”たちの快進撃により、9位へ押し下げられた。カナダ人がナショナルオープンを制覇する62年ぶりの悲願は叶わなかったが、カナダ人が五輪で金メダルに再び輝く112年ぶりの悲願は一層強まったのかもしれない。
今大会で勝利したのはカナダ人ではなくベネズエラ人のジョナサン・ベガスだった。最終日にスコアを8つ伸ばす驚異の快進撃で米ツアー通算2勝目を挙げた。
ゴルフがほとんど知られていなかった母国を離れ、米国のテキサス大学へゴルフ留学した当時のベガスは英語がわからないどころか、ゴルフシューズを履いたこともなく、歯医者の存在すら知らずに歯痛で顔を腫らせていたという。そんなベガスがプロになり、米ツアーに辿り着き、ルーキーイヤーの2011年に早々に初優勝を挙げたのは奇跡的。
しかし2年後、肩を痛めてシーズン半分を棒に振り、以後もなかなか成績が上がらず、シード落ちも経験。今季もフルシードが無い状態でなんとか米ツアーにしがみ付き、調子は少しずつだが上向きつつあった。
世界ランキング203位で臨んだ今大会。この優勝で来週の全米プロへの最後の切符を手に入れた。それは今年初めのメジャー出場になる。そして来年4月にはオーガスタにも戻れる。
今年のカナディアンオープンはまたしてもカナダ人の悲願は叶わなかったが、その代わり、ベネズエラ人の悲願、ベガスの悲願がようやく叶った。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)