<AT&Tペブルビーチ・プロアマ 3日目◇3日◇ペブルビーチGL(米カリフォルニア州)◇6972ヤード・パー72>
ペブルビーチ・ゴルフリンクスでの大会記録を2打更新! 神業的パットも披露したウィンダム・クラーク(米国)が「60」をたたき出した。
昨年の「全米オープン」覇者はおもしろいようにパットを決めた。2番パー5で約11メートルのイーグルパットを沈めると、4番パー4で3メートル、6番パー5で13メートル強を沈めて2つ目のイーグルを奪った。6ホールで5つ伸ばすと7番からは5連続バーディ。なんと11ホールで10アンダーをマークし、あっという間にリーダーボードのトップに躍り出た。
「きょうのベストパット」は12番パー3。ティショットを大きくショートさせてグリーン右前のバンカーに入れると、第2打はグリーン左前の深いラフへ。ここから左打ちでエッジにに運ぶと「入れようとは思わずスピードだけを考えた」という7.5メートルのボギーパットはカップに吸い込まれた。
同組のマット・クーチャー(米国)は「あんなすごいボギーパットは初めて見た」と脱帽。さらにクラークは13、14番と連続バーディを奪い「脳裏に59がよぎった」。16、17番はバーディチャンスにつけるも入らなかったが、最終18番パー5は8メートルに2オンさせた。だが、このイーグルパットはわずかに届かずバーディ。50台には惜しくも届かなかった。
「これまで59をマークした選手は、おそらくスコアのことなど考えていなかっただろう。きっと次のショットにだけ集中していたはず。(自分は)18番のフェアウェイで50台は『特別な数字』と考えてしまった」と悔やんだ。
それでもこの日の「60」は大会新記録。合計189フィート9インチ(約57.8メートル)ものパットを決めた。これにはクラークも自身のキャリアで「最高のパッティングだった」と自画自賛だ。
だが、実はクラークは昨年にロサンゼルスCCで開催された全米オープンを制した後、「パッティングに悩んできた」という。
今週は早めにコース入りし、チームが連れてきたパッティングコーチのマイク・カンスキィ氏と合流。練習グリーンで3〜4時間調整に取り組んだ。「9本もパターを持ってきて…。ずっとリッキー(ファウラー)と同じタイプのパターを使ってきたが、色々試したんだ。シャフトを短いものにして、グリップはクロスハンドにした。だけど(ヘッドに)ラインが入っていないものにしたのが最も大きい。今のぼくはパッティングで何かを変えなければいけないという状態だった」とパットの大改革を行い、それが見事にハマった。
最終日は夜半からの豪雨と強風により、スタートが大きく遅れる可能性も。果たしてクラークはこのまま逃げ切れるか?(文・武川玲子=米国在住)