<マスターズ 最終日◇13日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7555ヤード・パー72>
“勝つか、それ以外か”。松山英樹は昨年大会を38位で終えた際、「優勝できなかったという以外、なにもない」という言葉を残していた。
今年は14度目の出場。首位と5打差の12位で決勝ラウンドに進んだが、3日目に「79」と大きく崩れた。オーガスタ通算53ラウンド目にして、自身初のバーディなし。優勝戦線から脱落した。
それでも最終日には7バーディ・1ボギーの「66」をマークして21位に浮上したが、2021年以来の2勝目には届かず。この1週間を「難しかったなという感じ」と振り返った。
昨年のマスターズ以降、松山は数々の実績を積み重ねてきた。「パリ五輪」で銅メダルを獲得すると、次戦の「フェデックス・セントジュート選手権」ではプレーオフシリーズ初制覇。米ツアー12年目のシーズン開幕戦「ザ・セントリー」では、ツアー最少記録となるトータル35アンダーで優勝を果たした。
しかし、その後は勢いが弱まり、セントリー以降トップ10入りはなし。第5のメジャーと呼ばれる「ザ・プレーヤーズ選手権」、マスターズ前哨戦だった「バレロ・テキサス・オープン」ではともに予選落ちを喫した。ショットの手応えとは裏腹に、結果が伴わないことに「内容は(好調時と)ほぼ変わっていない。そんなに悪いゴルフかな? という疑問はある」と話していた。
「1カ月弱、ここだけを考えて準備した。結果は出なかったけど、すごくいい状態で入ってきた実感はあった。それが結果につながらなくて、すごく残念」
それでも、4日間のパーオン率は80.56%(58/72)で1位を記録。優勝した21年の69.4%を上回っただけでなく、大会自己ベストを更新した。「きょうと2日目のショットは、勝ったときと同じぐらいの精度だったと思う。ただ、3日目のような大きいミスをしないように、精度を高めていかないといけない」。手応えは、確実にある。
「やっと内容と(結果)が伴ってきた。これを結果をにどうつなげるかを考えてプレーしていきたい」
1カ月後には「全米プロ」(5月15日開幕、米ノースカロライナ州)が控え、6月に「全米オープン」、7月には「全英オープン」が待ち構える。「長い1週間だった。ここに向けて、また1年間準備しなきゃいけない」。来年のグリーンジャケット奪還を見据え、松山がメジャーロードを歩いて行く。(文・笠井あかり)