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だからこそ、次は松山英樹――。【舩越園子コラム】

だからこそ、次は松山英樹――。【舩越園子コラム】

配信日時:2017年6月19日 17時00分

だが、そんなふうにパットに自信を失いかけ、心が揺れ始めたときに迎えた13番は、パーパットを「アグレッシブに打って、しっかり沈めることができた。それが、どれほどの自信につながったことか。あれが今日の僕のターニングポイントだった」

ケプカのそのターニングポイントは、松山英樹が彼に1打差まで迫って72ホールを回り終えたタイミングと、ほぼ重なっていた。にじり寄る松山を引き離すために、揺れ始めた心を安定させる自信こそが「あのとき僕には必要だった」とケプカは振り返った。
 
なるほど。次なる14番からは3連続バーディーを奪い、ケプカのスコアは14アンダー、15アンダー、16アンダーへと伸びていった。それは同時に松山優勝の可能性を封じることにつながった。そんなケプカの勝ち方は、今年のマスターズを制して悲願のメジャー初優勝を遂げたセルヒオ・ガルシアの勝ち方と、どこか通じるものがあった。

マスターズ最終日、ガルシアがオーガスタの13番(パー5)で左のブッシュに打ち込んだとき、誰もが彼の敗北を予感した。だが、彼は「僕が目指すべきは、最善を尽くし、このホールを5で上がること」と考え、その通り、そのホールをパーで収めた。そして、14番のバーディー、15番のイーグルで再び首位に並び、そして勝利を掴んだ。

揺れそうな心を安定させ、ピンチを転機に変えて流れを好転させていく。それは、心と技を必要なところで融合させる高度な離れ業。メジャー大会のサンデーアフタヌーンに、そんな離れ業ができたとき、彼らはメジャーチャンプというものになった。

ガルシアも、ケプカも。そして次こそは、松山英樹が、その離れ業をやってのける。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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