<フェデックス・セントジュード招待 事前情報◇13日◇TPC サウスウィンド(米国)◇7243ヤード・パー70>
「金メダルが狙えると思っていたのに、それが銀メダルになり、銅メダルになり…。そして今はただ見ているだけになってしまった」
フェデックス・ランキング2位でプレーオフシリーズに臨むザンダー・シャウフェレ(米国)は、傷を胸にテネシー州へとやってきた。東京五輪金メダルから連覇をかけ挑んだパリでの4日間が、その原因となる。
首位で迎えた2度目の五輪最終日は序盤こそ快調に歩みを進めていたが、15番で池ポチャからダブルボギーを叩くなど終盤に失速。「73」と崩れ、連続表彰台を逃した。「僕は自分のラウンドに傷ついた。自分のことを理性的だと思いたいけど、プレーには傷ついてしまったんだ」。1週間のオフは、そんな葛藤も感じる日々だった。
だが、いつまでも引きずるわけにはいかない。今週、ルーキーイヤーから8年連続で進出するプレーオフシリーズが幕を開ける。5月の「全米プロ」、7月の「全英オープン」とメジャー2勝を挙げた充実のシーズンをより最高の気持ちで締めくくるためには、“年間王者”という肩書は必須だ。
「ここから3週間のメンタルの状態が一番大事。ただ集中すること。そして暑さと高度があるコースでしっかりプレーすること。暑さで体がいつも以上によく動くことを期待しているよ」
TPC サウスウィンドは池が絡むホールが多いと感じているが、それがパリ五輪の舞台になったフランスのル・ゴルフナショナルを思い出させるともいう。「それほど長いコースではないけど、思ったよりも池が多い。少しずれたら、日曜日のパリで起こったようなことも再びあるようなコースのひとつだと思う」。苦い経験を無駄にはしない。
プレーオフシリーズ初戦の最初の2日間は、ランク1位のスコッティ・シェフラー(米国)とプレーする。「(五輪で)スコッティが表彰台に上がり、国旗が掲げられ、彼があそこで泣き出したとき、スコッティの優勝を誇りに思った。この“揺れ”を説明するのは難しいけどね。そして今週、彼と一緒にプレーする。おかしな気分だよ」。そして年間王者になるためには、最後にパリ五輪金メダリストを追い抜く必要がある。
「フランスでは信じられないような経験ができた。1番ティは、まるでメジャー大会のようだった。コロナで東京にファンを呼ぶことができなかったのはとても残念だ。パリでは本当にたくさんのファンが来てくれて、木曜日から信じられないような雰囲気だった」
大きな悔しさと、米国選手としての誇りを感じたパリでの一週間にも一区切り。気持ちを切り替え、3週後には今度こそ大きな“金メダル”を手にしたい。