2023年「マスターズ」チャンピオンのジョン・ラーム(スペイン)が、来年1月から開幕するタイガー・ウッズ(米国)とローリー・マキロイ(北アイルランド)の新リーグTGLへの参戦を見送ることを発表した。
2日、自身のX(旧ツイッター)に「TGLの初年度に参戦できないことはとても残念。すばらしい機会だと今も思っているが、しかし今、出場を約束することはできない。このリーグに関わっている人たち全員の成功を祈っている」と投稿した。
TGLはウッズとマキロイらが発案したテクノロジーと融合した新しいスタイルのゴルフ。コースではなくアリーナでシミュレーションと実際のグリーンを使い、月曜の夜にチーム対抗のマッチプレーを行う。4人ひと組の6チーム、トータル24選手が参戦。1試合には各チームから3人が出場し、15大会のレギュラーシーズンが行われる。
ウッズ、マキロイに加え、ジャスティン・トーマス、コリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレ(いずれも米国)、マシュー・フィッツパトリック(イングランド)らトップ選手がそろって参加する中、ラームは突然の“棄権”を発表。さらにその理由も明かさなかったので、SNSのコメントには「ラームはLIVゴルフに行くのでは…」との噂が飛び交った。
これまでラームは反LIVゴルフでPGAツアーを支えてきた一人。「54ホール、ショットガンスタート、予選落ちなし。これはゴルフの試合ではない」「明日ゴルフができなくなったとしても、ぼくの家族を困らせないだけの十分なお金はすでにある」などと発言してきた。
その一方で、9月に開催された欧米対抗戦「ライダーカップ」にLIVゴルフでプレーするセルヒオ・ガルシア(スペイン)の出場を望み、またアリゾナ州立大の先輩で、LIVゴルフでプレーするフィル・ミケルソン(米国)の弟、ティムがラームのマネージャーを務めている時期もあった。
そこにきて、今回のTGL出場取りやめ。PGAツアーとLIVゴルフの統合が予定されていることもあり、『LIVゴルフ行きへと心変わりしたのでは』という憶測がなされているというわけだ。
移動の問題もある。第2子が誕生したラーム一家が暮らすのはアリゾナ州フェニックスで、リーグが開催されるのはフロリダ州のパームビーチ。タイガーら多くの選手は同エリアに暮らしているが、アリゾナのラームにとっては3600キロ離れている。時差もある長距離移動は大きな障害となったよう。
「ジョンの不参加は大変さみしいが、選手は多くのプロフェッショナルなこととパーソナルライフのバランスをとる必要がある。ジョンの決断を尊重したい」とTGLはコメントを発表した。(文・武川玲子=米国在住)