＜パリ五輪　3日目◇3日◇ル・ゴルフナショナル（フランス）◇7174ヤード・パー71＞

五輪初出場のジョン・ラーム（スペイン）に、お隣スペインから多くのファンが駆けつけた。その応援を背に「66」をマーク。ザンダー・シャウフェレ（米国）に並ぶトップに立つと、「大声援が大きな力になった」と興奮した。

序盤の3番パー5で221ヤードからカラーに乗せてバーディ。これで勢いに乗ると4番パー4で7メートルを決める。9番パー5も第3打を1メートルにつけて伸ばし、前半から「33」と飛ばした。後半も13、14番で連続バーディ。終盤17番で10メートル以上のバーディパットを沈めると、コースに大歓声が響きわたる。

母国スペインはフランスの隣国で、特にラームの出身のバスク地方はフランスと国境を接している。「五輪だからみな母国に声援を送るけれど、スペイン人はそれ以上なんだ」。そのひとりひとりの声は、誇らしくも感じる。

「他のメジャーに比べてずっとスペインに近いからね。五輪となればさらに多くのファンが集まるのは当然だ。みんな国旗と同じカラーのウェアだから、どこにいてもよく分かる。そして声が大きい。…たぶん、コースで一番声が大きいのがスペイン人だ（笑）。その声援はすごく助けになった」

昨年12月にLIVゴルフに電撃移籍したが、勝ち星から遠ざかった。メジャー大会でも、ディフェンディング王者として出場した「マスターズ」は45位、5月の「全米プロ」は予選落ち、6月の「全米オープン」は足の指のケガが原因で欠場した。それでも7月にようやく「全英オープン」で7位に入ると、先週、ロンドン郊外で開催されたLIVゴルフでようやく勝利を挙げたばかり。上り調子で迎えた五輪でもあった。

実際には未勝利の間も「とても良いプレーをしていたんだ。ただ勝つチャンスのある位置につけることができなかった」と手応えは感じ取っていた。「それが先月から少しずつ良くなった。そして先週の勝利が今週の良いプレーにつながっている。すぐにまた勝つチャンスがある位置につけられてとてもとてもうれしい」。自信を胸に金メダルを目指す。（文・武川玲子＝米国在住）