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イタリア人の全英初制覇は決して驚きのドラマではない【舩越園子コラム】

イタリア人の全英初制覇は決して驚きのドラマではない【舩越園子コラム】

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2018年7月23日 11時59分

ここ数年、彼はカーヌスティを避けてきた。この地で開かれる欧州ツアーの大会で過去に何度か苦しんだモリナリは「カーヌスティには嫌なフィーリングが残っていたから、ここ数年は試合に出ずに避けてきた」。

だが、カーヌスティの全英オープンから逃げるわけにはいかない。逃げずに立ち向かうために、モリナリはスイングコーチやショートゲームコーチ、トレーナーらと心技体の向上にコツコツ取り組んできた。

全英オープンの2週前、米ツアーの「クイッケン・ローンズ・ナショナル」で2位に8打差を付けて圧勝し、念願の米ツアー初優勝を遂げると、翌週の「ジョンディア・クラシック」でも2位タイ。そうやって着実に調子を上げ、全英オープンで自身のゴルフをピークへ持っていけるよう備えてきた。

そして、タイガー・ウッズ(米国)と同組になった全英オープン最終日。首位から3打差でスタートし、1番から13番まで、すべてパーを拾いつつ、虎視眈々とスコアを伸ばすチャンスを伺っていた。好機が到来したのは14番のパー5。2オン、2パットで初バーディーを奪うと、18番では見事なセカンドショットでピン2メートルに付け、バーディーで締め括りガッツポーズをとった。

しかし、まだ後続組の動向を待たなければ、モリナリの優勝は決まらない。アテストを終えたモリナリは、しばらくの間、ソファに座り、テレビ中継を眺めていた。だが、1打差で追いかけていたザンダー・シャウフェレ(米国)が17番でボギーを喫し、18番の第2打を直接カップに入れない限り、モリナリが優勝という状況になったとき、ふと気づけば、モリナリは練習グリーンでパターを握っていた。

プレーオフになる小さな可能性に備えるために練習グリーンへ行ったのだろうと思ったが、実は、そうではなかった。「ザンダーの上がり2ホールを怖くて見ることができなかった」。だから練習グリーンへ逃げたというモリナリには、そんなふうに怖いものを避ける気弱な面がある。

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