<テキサス・チルドレンズ・ヒューストン・オープン 2日目◇29日◇メモリアル パークGC(米テキサス州)◇7435ヤード・パー70>
ルーキーとして戦っているチャン・キム(米国)にとって、この日は忘れられないものになった。79位からスタートし2つ伸ばして迎えた、157ヤードの9番パー3。ピッチングウェッジで打ったティショットはピン手前に1バウンドすると、そのままカップに吸い込まれた。
大歓声が起きる中で両手を挙げてガッツポーズ。ツアー自身初のホールインワンを達成した。「67」と伸ばし、トータル2アンダーで決勝ラウンドへと駒を進めている。
実は前夜、高校時代からの親友を亡くしていたことを明かした。「同じゴルフ部だったんだ。彼も彼の弟も、長い間親しくしていた。2月にメキシコに行く前に、一緒にゴルフをしたんだ。僕らはいつものようにゲームを楽しんだ」と回顧した。だが、別れは突然やってきた。
「きのうの夜まで何も知らなかった。だから、きょうのラウンドは特別だった。どんな結果でも自分のためだけでないプレーしようと思っていた。きっと彼が空から見ていてくれたに違いない。奇跡を起こしてくれた」と感極まった。
日本ツアー8勝を飾るキムは、昨年米下部のコーン・フェリーツアーに主戦場し、2勝をマーク。レギュラーツアーに昇格し、ルーキーイヤーを戦っている。週末は20位タイから上位を目指していく。(文・武川玲子=米国在住)