＜全米プロゴルフ選手権　3日目◇20日◇オークヒルCC（米ニューヨーク州）◇7394ヤード・パー70＞

荒れたムービングデーで、松山英樹は耐えた。2バーディ・2ボギーの「70」でプレーし、トータル3オーバーは35位タイから20位に順位を上げた。

ピーク時には降水量4ミリほどを記録した雨が、朝から降り続くというタフなコンディション。そんななか、1番でドライバーでのティショットをフェアウェイに運ぶと、2打目を右4ヤードに切られたピンのショートサイドにつけてバーディ発進を決めた。2番はボギーとしたものの、パーオンを逃した6番、7番はアプローチでセーブしてパーを積み重ねた。

9番ではティショットを大きく右に曲げてラフにつかまり、グリーン方向には木が生えて打ち上げという状況に陥った。それでも「右が開いていた」と、レイアップではなく4番アイアンを振ることを選択した。

普段なら「左からスライスをかけて狙っていこうかな」というシチュエーションだが、「いまはそんな状態じゃない」と自身のショットの状態や右のOBも気になる局面。それでも真っすぐ打ってグリーン近くのバンカーまで運び、1パットのパーでしのいだ。 「最近ああいうショットはミスばっかりなんで、ちょっと緊張しました」と、その時の心中を明かす。

そこから2パットのパーが続く我慢の展開となったが、スコアが動いたのは、最も易しい14番パー4。アイアンのティショットを左ラフに入れると、1メートルのパーパットを決めきれずボギーとした。「もったいないミスでしたね。バーディホールでボギーっていうのは」と振り返る。

それでも最終18番ではグリーン手前ラフから60度のウェッジで“借金返済”のチップインバーディ締め。「パターがあんまり、後半になってよくなかったので、OKに付けるのも入れるのも上げた方ほうが入るだろうなと思った」とわずか手前4ヤードに切られたカップに向かってふわりと上げた3打目が、カップ近くに落ちてそのままイン。スコアを落とす選手が多いなか、イーブンにまとめた。

予選2日間で左右に散っていたティショットは、この日は14ホール中9回でフェアウェイをヒット。パーオンも11回とこの3日間で最も高かった。ショットの安定性については「とんでもないミスもありますけど、最後の18番とかも、いいティショット、セカンドを打てたので、あしたに向けて続ければいい」と好感触を示している。

最終日は朝から快晴で、気温も上がる予報。「コンディションがどう変わるか分からないですけど、対応して、きょうみたいに1番でバーディを獲っていけるようにしたいと思います」と、首位との9打差をロケットスタートで追いかける構えだ。（文・笠井あかり）