PGAツアーとLIVゴルフをバックアップするサウジアラビアの政府系ファウンド、PIFとの統合への“枠組み”が衝撃的に発表されたのは昨年6月。あれから15か月近くが経過したがまだ統合は実現されていない。当初は昨年12月末の締結を目指すとしていたが、「2024年春頃」と延期、しかしそれも過ぎ去り2024年シーズンが終わろうとしている。
今週のプレーオフシーズン最終戦「ツアー選手権」の開催前にPGAツアーのジェイ・モナハン会長が会見を開いた。「ファンが望んでいることを聞き、選手たちの意見も聞いている。その上で世界のトッププレーヤーが再び戦えることが目標だ」と統合問題についての進捗を明かす。「話し合いを続けてテーブルについている。それはとても複雑なことで、時間が必要でタイムラインなどを示すことはできない」。話がまとまるまで、時間がかかりそうだ。
一方で「我々がコントロールできることに集中したい」とし、SSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)からの投資を受けて、新たに営利企業のPGAツアー・エンタープライズを設立。また選手はオーナーシップに参加できるプレーヤー・エクイティ・プログラムを今年初めに発表している。
すでにPGAツアーは25年シーズンのトーナメントスケジュールが発表されており、ほぼ24年と同様で高額賞金の“シグネチャー・イベント”は8大会が開催される。LIVゴルフの来季のスケジュールは未発表だが、来季は4月まで米国以外で開催されると言われている。少なくとも25年はPGAツアーとLIVゴルフが別々のリーグとして開催されることになる。
またLIVゴルフの選手がPGAツアーへ復帰できる道は現在も決まっていない。モナハン会とともに会見に臨んだPGAツアーのバイスプレジデントであるタイラー・デニス氏は「これまでPGAツアーのメンバーとしてプレーしたことのない選手は、LIVゴルフなどPGAツアーが認可していないツアーをプレーしてから1年経過すればPGAツアーでのプレーが可能。しかしPGAツアーメンバーだった選手がLIVゴルフでプレーをした場合は再びPGAツアーでプレーできる道は決まっていない」と語った。
PGAツアーのトップ選手が“シグネチャー・イベント”での戦いを見せる一方で、LIVゴルフで戦うジョン・ラーム(スペイン)やブライソン・デシャンボー(米国)が、スコッティ・シェフラー(米国)やローリー・マキロイ(北アイルランド)と直接対決できるのは現在のところはメジャー大会のみになる。(文・武川玲子=米国在住)