8日に開幕する米国男子ツアー「RBCカナディアン・オープン」の会場、オークデールGC(カナダ・トロント)。そこで2019、22年と大会連覇中(20、21年はコロナ禍で大会は中止)のローリー・マキロイ(北アイルランド)が公式会見に臨み、V3へ意欲を見せた。
しかしすぐに質問は、前日ゴルフ界に衝撃を与えた話題に変わる。もちろんPGAツアー、DPワールド(欧州)ツアーとサウジアラビアの政府系ファウンドのPIFが手を組み新会社を発足、新たなグローバルゴルフへと動き出すと発表した件についてだ。マキロイは昨年6月に開幕したLIVゴルフに反対するPGAツアーの急先鋒として表に立ってきた経緯がある。
そのマキロイが今回の「統合」を知ったのは発表のわずか3時間前。「前夜にジミー・ダンから翌朝話しがしたいとテキストがあった。それで朝6時半に電話が来た」と、その時のことを明かす。デューン氏は昨年11月からPGAツアーと個人契約を結び理事を務めている人物だ。「ジミーから統合に至る経緯や内容を大まかに聞いた。世間が知るのとほぼ同時だ。PIFとツアーが話しをしていることは聞いていたが、こんなに早く決まるとは思っていなかった。とても驚いた」とマキロイにとっても想定外だったという。表情は「とても複雑な思い」と語るように、怒りをこらえて、言葉を丁寧に選んでいる、そんな印象だった。
「サウジアラビアのPIFはゴルフに資金を費やすと決めている。それが望ましいか望ましくないかは別の話。大金が流れこんで来るのであれば、それを正しく使うことが大事だ」と丁寧に話す。そして自分に言い聞かせるように「ビックピクチャー、大きな視野で見れば…10年後にはプロゴルフ界にとってはいいことになる」と願いを込めるように話した。
ただそのマキロイが最もいらだちを見せたのは“LIVゴルフと統合”と報道されていること。「昨日のヘッドライン(見出し)にはとてもがっかりした。PGAツアー、DPワールド(欧州)ツアーがPIFと新会社を作り動き出すのであって、決してLIVゴルフと統合するのではない」と、その表現を“訂正”。そして「僕は今もLIVゴルフが大嫌いだ」と続ける。「今季限りでLIVゴルフがなくなることを願っているし、そうなるだろう。新しい統合はLIVとはまったく違うものだ」と強く主張を続けた。(文・武川玲子=米国在住)