<パリ五輪 最終日◇4日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇7174ヤード・パー71>
五輪のゴルフ競技は2016年のリオ大会で112年ぶりに復活してから今回が3回目。前回の「東京五輪」に続く出場となった松山英樹は、最終ラウンドで6バーディを奪い、銅メダルを獲得した。日本男子ゴルフ初のメダル獲得。決して楽な道のりではなかった。
東京大会では銅メダルをかけた7人によるプレーオフに進出したが、敗退し4位タイに終わった。目指すは金メダルというなかで最後はスコッティ・シェフラー(米国)の猛烈なバーディラッシュに屈したが、表彰台の頂は目の前に迫っていた。
3日目を終え東京のゴールドメダリスト、ザンダー・シャウフェレ(米国)、そしてジョン・ラーム(スペイン)がトータル14アンダーの首位タイ。松山は3打差のトータル11アンダーからスタートした。
最終組ひとつ前の組から追い上げを開始した。1番をパーとすると、2番パー3ではティショットがピンに一直線。1メートル内に寄せて楽々バーディを奪った。4番もバーディで伸ばしたが、5番ではピンチから一転、バーディを奪取。続く6番でもバーディを決めると、この時点で首位グループまで1打差に迫った。
中盤に入ると、上位勢のスコアが一気に動き出す。ラームが一時はトータル20アンダーまで伸ばしながら、折り返し直後の11番、12番で連続ボギー。そして14番をダブルボギーとすると、今度はシェフラーが猛烈な追い上げを見せた。
スタートから3連続バーディで一気に上位を追ったが、その後は停滞。ところが後半に入ると、世界ランキング1位が大爆発する。10番、12番でスコアを縮めると、14番から圧巻の4連続バーディ。混戦を抜け出しトータル19アンダーのトップで後続の結果を待つことになった。
松山は12番のバーディを最後にチャンスを決めきれずにパーを並べたが、すでにホールアウトしていたシェフラーとは2打差で18番を迎えた。この時点で金メダル獲得は厳しい状況に。それでもメダル獲得を目指すプレーを最後まで続けた。最終組を回るトミー・フリートウッド(イングランド)から遅れること1打。トータル17アンダーで迎えた3.5メートルのバーディチャンスがやって来て、これが決まれば2位に並ぶというところだったが無情にもボールはカップに沈まず3位でホールアウトを迎える。
メダルの行方は最終組の最終ホールに委ねられた。松山と1打差のラームがバーディを取れば3位タイに追いつかれ、フリートウッドがボギーとすれば銀メダルをかけたプレーオフという状況に。先にラームがバーディを外し、松山のメダルが確定。フリートウッドがパーセーブすると、日本男子ゴルフ界初のメダルの色は“銅”に終わった。
常に優勝しか表彰されない通常ツアーとは違って、上位3位を決める息詰まるメダル争い。前回は銅メダルをかけたプレーオフで敗退していただけに、リベンジに燃えた今回は「正直、金メダルを獲りたかったけど、すごくうれしい」と、最後は笑顔で表彰台に上がった。松山英樹が、また日本の男子ゴルフに新たに歴史を刻み込んだ。