<パリ五輪 3日目◇3日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇7174ヤード・パー71>
松山英樹らと並ぶトップからスタートしたザンダー・シャウフェレ(米国)は、スロースタートながらも後半14番パー5でイーグル。これで「68」と伸ばし、ジョン・ラーム(スペイン)と並ぶトータル14アンダーで首位をキープした。2021年の東京五輪に続く金メダルに一歩近づいた。
2番パー3で70センチを外してボギーが先行した。最終組の松山英樹、英国代表のトミー・フリートウッドの3人が伸ばせない重い空気について「精神的な戦いがあった」とシャウフェレは振り返る。これがメダルへの重圧なのか?
それでも4番パー4で4メートルを沈めて取り戻すと、後半は12番パー4で3メートルのチャンスをねじ込む。そして圧巻だったのが14番パー5だった。
「(2打目は)フロントエッジまで228ヤード。4アイアンでピン前8メートルにつけられた」。このスライスラインを読み切ったイーグルパットは、ラインに乗ると、グングンとカップに向かっていく。すると入ることを確信したシャウフェレは右手を挙げて歩き出す。“確信イーグル”については「入ってよかった」と、歓声に笑みで応えた。
「ジョン(ラーム)が14アンダーに伸ばしているのが分かっていた。リーダーについていこうと必死だった。14番はトミー(フリートウッド)もバーディを取ってくると思っていたから、あそこで2打伸ばせたのは大きかった」。値千金のビッグプレーだった。
「もし800メートル競走なら途中経過が終わったところ。まだ戦いは残っている」。最終日を五輪競技に例えた。「このコースは誰かが『62』を出してくるコースだ」。3日目に「62」をマークしたニコライ・ホイガード(デンマーク)をさし、追い上げてくる選手も警戒する必要がある。
3年前に獲得した“金メダル”は現在も両親が大切にしまっているという。「そのほうが安全だからね」。もしも、もう一つ手に入れたら、「1つ目の隣に飾られるだろう」と笑った。いよいよ迎える最終日。「風次第だが、みんな『62』を目指してくるだろう。でもトップの僕がそのスコアを出せば目標は達成できるはず」。五輪連覇への挑戦は、いよいよ最後の直線に入る。(文・武川玲子=米国在住)